研究課題/領域番号 |
17H02611
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
宮城 孝 法政大学, 現代福祉学部, 教授 (70276864)
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研究分担者 |
呉 世雄 宇都宮大学, 地域デザイン科学部, 講師 (00708000)
仁科 伸子 熊本学園大学, 社会福祉学部, 准教授 (30707683)
長谷川 真司 山口県立大学, 社会福祉学部, 准教授 (50438868)
末田 千恵 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 講師 (50622685)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 地域包括ケア / 経営効率性 / 地方自治体 / 包括的支援体制 / 地域特性 |
研究実績の概要 |
2018年度は、第一に、全国の介護保険者である市町村自治体の介護保険担当部署に対して、「市町村介護保険者における地域包括ケアシステムの開発に関するアンケート調査」を実施し、その結果について、2015年度に行った同様の調査の結果との経年的な変化を含めて分析を行った。また、全国の介護保険者を、高齢化率と高齢者人口密度によって、6つのクラスターに分類し、調査結果について、クラスターごとの比較についても分析を行った。さらに、各介護保険者における要介護認定率、平均要介護度などのデータについて、データ包絡分析(DEA)法を用いて、各クラスターごとに各保険者の経営効率性を算出した、その上で、各クラスターごとに経営効率性の高い介護保険者の中から、経営効率性を高くしている施策的な要因などについて分析するため、二つの介護保険者を選定してヒアリング調査を実施している。 第二に、全国の市町村自治体の地域福祉担当部署に対して、「基礎自治体の地域福祉における包括的支援体制の整備と地域福祉計画に関するアンケート調査」を実施し、その結果を分析した。この調査は、2018年4月に、社会福祉法が改正され、市町村自治体に包括的支援体制を構築することが努力義務として規定されてから初めての全国調査であり、多くの貴重なデータを得ることができている。 さらに、これらの調査の結果の中間報告として、また先進的な取り組みを行っている自治体や社会福祉協議会をゲストとして招き、「地域共生社会の構築に向けた全世代型地域包括ケアと包括的支援体制のあり方を探る」と題して、公開研究フォーラムを、研究代表者が属する法政大学の市ヶ谷キャンパスにて2019年3月9日に開催し,多くの自治体関係者など約150名の参加を得ることができた。この模様は、業界紙にも掲載され、本研究の成果の普及を図る上でも貴重な機会とすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の2018年度の実施計画として、(1)2017年度の結果による各クラスターの先進的で経営効率性の高い保険者のデータ分析とフィールドワークによる質的分析を行う。(2)全国の介護保険者に対して第7期介護保険事業計画における地域包括ケアのシステムの統合化の形成状況について、行政の介護部局等に対して地域包括ケアシステムにおける介護と地域医療や保健、住宅などの部局等との連携状況などについてアンケート調査を実施し、第6期と比較した経年分析を行う。(3)地域包括ケアシステムの経営効率性の高い先進事例や在宅におけるターミナルケアの先進事例に関する情報収集と分析を行うとしている。 (1)については、データ包絡分析(DEA)法を用いて、各クラスターごとに各保険者の経営効率性を算出し、その上で、各クラスターごとに経営効率性の高い介護保険者の中から、二つの介護保険者を選定して、ヒアリング調査を実施した。(2)については、全国の市町村自治体の介護保険担当部署に対して、「市町村介護保険者における地域包括ケアシステムの開発に関するアンケート調査」を実施し、その結果について、2015年度に行った同様の調査の結果との経年的な変化、クラスターごとの比較などを含めて分析を行った。さらに、全国の市町村自治体の地域福祉担当部署に対して、「基礎自治体の地域福祉における包括的支援体制の整備と地域福祉計画に関するアンケート調査」を実施し、その結果を分析した。(3)については、神奈川県横須賀市における看取りケア、市町村自治体における包括的支援システムについての3つの先進地域について詳細なデータを得ることができている。 特に1年間で全国の自治体関係部局に二つのアンケート調査を実施し分析を行っており、その結果を含めて、公開フォーラムを開催しフィードバックできた点は。、当初の計画以上に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、2019年度が最終年度であり、当初の実施計画では、(1)経営効率性の高い地域包括ケアシステムの開発、地域特性に応じた包括的支援体制の構築を図っている自治体に対するフィールドワークの実施、前年度に実施したアンケート調査の分析作業を継続するとともに、結果の総括を行う。(2)研究成果を報告書として発行するとともに、出版に向けての準備を行うとしている。 (1)については、当初の計画通り、地域特性に応じた地域包括ケア、包括的な支援体制に関する先進的な取り組みを行っている地域について、研究協力者も含めて9月までにヒアリングを行い、データ化し分析を行う。また、二つのアンケート調査の結果についての分析をさらに進める。 (2)については、(1)の結果を2020年1月中に報告書としてまとめ、調査の対象とした全国の自治体関係部署や関係者に送付し、本研究の成果の普及を図る。また、2020年3月上旬に、自治体関係者や関連する学会の会員向けに周知し、2回目の公開研究フォーラムを行い、本研究のフィードバックを図ることとする。そして、本研究の総括を行い今後の出版に向けての準備を行うこととする。
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