研究課題/領域番号 |
17H02613
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研究機関 | 日本福祉大学 |
研究代表者 |
訓覇 法子 日本福祉大学, 福祉経営学部, 教授 (10329766)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 高齢者福祉 / 要介護初回認定者 / 介護軌跡 |
研究実績の概要 |
初年度の課題は、本研究に必要な日瑞両国のデータセットの整備、特に日本の介護データのクリーニングと死亡データの突合、既に整備がなされていたスウェーデンデータの第一次分析、その結果を踏まえた比較可能な変数の確認と比較指標の抽出、比較分析構造と分析段階の検討をすることであった。検討のための議論は、2回にわたる日瑞両国の研究者による合同研究会議(2017年11月13-14日、東京、2018年3月1-3日、ストックホルム)において行った。 二国間の比較は、変数や測定方法が異なる両国のデータを考慮し、比較の妥当性を保証するために、変数毎に二国間の直接比較をするのではなく、同じ変数の各国の時間的推移を分析した上で、二国間の比較を行う方法を選択した。比較の測定年は、2000年、2005年、2006年、2010年、2015年に設定した。2006年は日本の介護保険制度の改正による影響と結果が予測されるため、影響を測定するために特別に追加した。さらに、機能障害など比較のための変数の抽出及び指標作成について最終的な議論を行い、妥当性を確認した。たとえば、日本のADL変数はスウェーデンの変数との比較が可能な項目を選び、比較の難しいIADL変数は使用しないことにした。また、認知障害に関しては測定方法(スケール)や項目が二国間で大きく異なるために比較から外すが、各国の要介護初回認定後の認知症疾患の出現及び発展過程を分析することにした。分析作業は5段階(機能障害 コーホート別、年齢・性別)、給付サービス、5年毎の平均的変化、1年及び5年間の変化、死亡率、施設ケア移行などに関する回帰分析)に分け、両国同時分析を行うことを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度において、各国のデータ整備作業を基本的にすませてから、2回にわたって日瑞両国研究者による合同会議を集中的に開催したために、合理的な議論と相対的に早い比較変数抽出や分析方法などの決定が可能となった。また、これらを検討するために、データセットとして分析が可能な状態になっていたスウェーデンデータの第一次分析を行い、その結果を出発点としたため、重要な変数抽出や指標作成などの確定がスムーズに行えたといえる。さらに、研究代表者が両国の研究者と常時連絡をとり、必要な時には日瑞両国において研究会議や打ち合わせを持つことができた。また、二国間の速やかな意思疎通を図ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、計画に基づいて、5月から7月にかけて段階1と2の分析を行い、7月に合同研究会議を日本あるいはスウェーデンにおいて開催する。合同会議の開催が困難な場合は、インターネットやメールを利用するなどして、分析結果を逐次議論し、検討する。さらに、段階1と2の結果を踏まえて、段階3、段階4と段階5の分析について議論し、検討する。8月から10月にかけては、段階1と段階2の最終分析を行い、11月には段階3、段階4と段階5の分析結果を議論し、検討する。 これらの結果は、研究会議や国内外の学会(International Network on Health Expectancy and the Disabilities Process=REVES, Gerontological Society of America=GSA など)において発表する。また論文投稿についても内容や投稿先の検討を始め、最初の論文投稿は、2019年夏を目標として作成を進める。研究代表者は、両国の研究協力者と常時連絡をとり、必要に応じて研究会議や打ち合わせを行う。
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