研究課題/領域番号 |
17H02613
|
研究機関 | 日本福祉大学 |
研究代表者 |
訓覇 法子 日本福祉大学, 福祉社会開発研究所, 客員研究所員 (10329766)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 高齢者福祉 / 要介護初回認定者 / 介護軌跡 |
研究実績の概要 |
平成30年度の課題は、日瑞二国の縦断的データを初回認定者の特性、初回認定から5年経過した時点での状態分析を段階別に行うことであった。測定年は、2000年、2005年、2010年、2015年としたが、日本は介護保険改正による影響を見るために2006年も加えた。比較分析作業は段階を追って両国同時進行で行った(コーホート別、年齢グループ別、性別)。段階1:機能障害、段階2:給付サービス、段階3:5年ごとの変化(平均値)、段階4:1年間及び5年間の変化、段階5:回帰分析(死亡率、施設ケアへの移行など)のうち、段階4までの分析を二国ともに終えた。また、認知障害に関しては、測定方法(スケール)や項目が二国間で異なるため、それぞれの国の測定項目の発展動向を分析した。ADL依存者数、移動障害、認知障害、介護度、国民総数に対する在宅関連サービス及び施設ケアの出現率、ADL依存者の5年間変化(生存者)、在宅から施設への移動に関する5年間変化(生存者)、ADL依存者の1年間及び5年間の変化、介護度の1年間及び5年間の変化を分析した。 主な結果は、両国の初回認定者ともに相当の機能障害と援助ニーズを有し、日本の介護保険開始年の初回認定出現率は後のコーホートの出現率よりも高かったが、2005年には大幅に低下、個人の機能障害・ADL依存度は時間とともに増大し、2006年の介護保険制度改正の影響はそれほど顕著ではなかった。スウェーデンでは、死亡率の大幅な減少と施設ケア出現率の大幅な低下が指摘された。両国間には類似性とともに相違も見られ、スウェーデンでは死亡以外に施設ケアの利用中止は少ないが、日本ではかなりみられ、施設ケアにおける死亡率はスウェーデンより日本の方が低かった。日本の在宅関連サービス量(時間)もスウェーデンよりも少なかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
15年間に及ぶ膨大な介護保険データのクリーニングや分析可能な状態にするためのデータ整備作業に相当の時間を費やしたが、分析構造や段階を綿密に準備したことによっておおむね計画通り実施することができた。日瑞両国の合同会議は開催できなかったが、研究代表者が両国の研究協力者と常時連絡をとり、必要に応じて研究会議や打ち合わせを行い、二国間の速やかな意見交換や確認を行うことができた。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は本研究の最終年度となる。5月26日にスウェーデンで日瑞両国の合同研究会議を開催し、すでに行った両国の第一次分析結果を確認し、総合的な比較分析と考察に向けて深める必要がある事項を抽出し、回帰分析(段階5)などの分析方法を検討し、決定する。同時に、投稿を計画する2本の論文(英語)の内容を最終検討し、先行研究レビューや使用するデータ選択などを行い執筆にとりかかる。11月30日にスウェーデンにおいて2度目の合同研究会議を開催し、総合的考察に関する最終議論を行う。同時に、投稿論文第一次原稿の内容に関する意見交換とともに、適切な投稿先を具体的に検討し、決定する。また、国内外の研究会議や学会(International Network on Health Expectancy and the Disabilities Process=REVES, Gerontological Society of America=GSAなど) において研究成果を報告する。研究代表者は、今までと同様に両国の研究協力者と常時連絡をとり、連携に必要な速やかな意思疎通を図る。
|