2019年度の課題は、日瑞二国の縦断的データによる国別の分析結果を突き合わせて最終比較分析を行うことであった。当初は、2000年、2005年、2010年、2015年を測定年と設定したが、2000年は制度が定着するまでの過渡期の状態が反映され、2005年の介護保険改正による影響はみられなかったため、二国間比較をより正確で妥当なものにするために、最終的に2004年、2009年、2014年と設定した。同時進行で行った両国の結果に基づいて、二国間比較を最終的に終了した(コーホート別、年齢グループ別、性別)。初回認定出現率、ADL依存度別分布、移動障害度別分布、認知障害度別分布、サービス給付量別分布、ADL依存度別サービスレベル分布、ADL依存の5年間変化(在宅から施設へ転居した生存者及び在宅に留まった生存者)、サービスレベルの5年間変化、ADL依存度の1年間及び5年間の変化を分析し、結果を考察した。 主な結果は、両国の初回認定者ともに相当の機能障害と援助ニーズを有しており、両国のニーズ認定方法は異なるが、サービスを受給する初回認定者はニーズを有することが明らかであった。初回認定者の過半数が両国ともに女性であった。ADL依存度の最も高い割合は両国ともに約15%であり、時間による大きな変化はみられなかった。1年後の死亡率は、両国ともにADL依存度の高いグループにおいて高かった。初回認定者の10人に1人が5年以内に死亡しているが、1年後の死亡率と同様にADL依存度によって大きな相違がみられた。ホームヘルプサービスの受給パターンは両国間に相違がみられ、25時間以上の日本の受給者は皆無であった。スウェーデンでは死亡以外に施設ケアの利用中止は少なかったが、日本ではかなりみられ、施設ケアにおける死亡率はスウェーデンより日本の方が低かった。学術雑誌に投稿する2本の英語論文を作成中である。
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