研究課題/領域番号 |
17H02641
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
丹野 義彦 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (60179926)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 公認心理師 / 認知行動療法 / 認知行動科学 / ワークショップ |
研究実績の概要 |
本研究は、欧米で近年さかんになっている認知行動療法を日本の公認心理師において普及させ、わが国に科学的な臨床心理学を定着させることを目的としている。2015年に公認心理師法が成立し、国家資格である公認心理師は、これまでの民間資格や学会認定資格とは異なり、治療効果の説明責任が求められるため、エビデンスにもとづく認知行動療法を公認心理師の間に普及させることが急務となっている。そこで、不安障害・うつ病・統合失調症・ストレス疾患など、疾患別に特化した認知行動療法を開発し、ワークショップに取り入れ、初級者・中級者・上級者それぞれにおいて最も効率的な認知行動療法とそのワークショップを確立することが目的である。 本年度の研究実績について、まず、イギリスの認知行動療法の社会的な普及について主張したレイヤードとクラークの『心理療法がひらく未来:エビデンスにもとづく幸福政策』をちとせプレスから翻訳出版した。 また、海外で実際におこなわれている認知行動療法について調べるために、研究代表者および連携研究者は、世界精神医学、欧州認知行動療法学会などにおいて英語圏の認知行動療法家がおこなうワークショップに参加して、認知行動療法の技法に習熟し、最新の情報を収集した。 さらに、日本心理学会、日本認知・行動療法学会、日本認知療法・認知行動療法学会、日本不安症学会などの学術大会や、東京認知行動療法アカデミーなどの研修会において、公認心理師への認知行動療法の普及について、シンポジウム、講演、座談会などをおこなった。さらに、公認心理師の将来と認知行動療法について、いくつかの専門誌に総説論文を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究業績の概要で述べたように、イギリスの認知行動療法の社会的な普及について主張した『心理療法がひらく未来:エビデンスにもとづく幸福政策』を翻訳出版し、また、海外で実際におこなわれている認知行動療法について調べるために、研究代表者および連携研究者は、世界精神医学、欧州認知行動療法学会などにおいて英語圏の認知行動療法家がおこなうワークショップに参加して、認知行動療法の技法に習熟し、最新の情報を収集した。さらに、日本心理学会、日本認知・行動療法学会、日本認知療法・認知行動療法学会、日本不安症学会などの学術大会や、東京認知行動療法アカデミーなどの研修会において、公認心理師への認知行動療法の普及について、シンポジウム、講演、座談会などをおこない、公認心理師の将来と認知行動療法について、いくつかの専門誌に総説論文を発表した。さらに、研究代表者は、厚生労働省および文部科学省が主催した公認心理師カリキュラム等検討委員会のワーキングチームに構成員として参加し、エビデンスにもとづく心理実践や認知行動療法の重要性、科学者-実践家モデルにもとづく基礎心理学と実践心理学の統合、生物・心理・社会モデルの重要性について主張して、公認心理師カリキュラムに反映させることができた。 こうした活動から、公認心理師に認知行動療法を普及させるためのワークショップや基礎研究についても、おおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、おおむね順調に進展していると判断できるので、今後も研究と活動を継続したい。認知行動療法について、疾患別に特化した認知行動療法を開発し、ワークショップを開発していきたい。また、海外の代表的な研究者・臨床家を招いて、海外の第一線の認知行動療法のワークショップをおこない、それを我が国に定着させたい。認知行動療法のワークショップの技法について、欧米の認知行動療法関係の学会に参加し、ワークショップに参加して、技法に習熟し、最新の情報を収集する予定である。また、実際に多くの学会でワークショップを開催し、それについてのシンポジウムなども積極的におこなっていく予定である。
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