わが国に科学的な臨床心理学を定着させるために、世界的な標準となっている認知行動療法を日本の公認心理師において普及させることが本研究の目的である。国家資格である公認心理師は、これまでの民間資格や学会認定資格とは異なり、治療効果の説明責任が求められるため、エビデンスにもとづく認知行動療法を公認心理師の間に普及させることは重要である。不安障害・うつ病・統合失調症・ストレス疾患など、疾患別に特化した認知行動療法を開発し、ワークショップに取り入れ効率的な認知行動療法とそのワークショップを確立したい。 本年度の研究実績について、研究代表者は、公認心理師養成大学教員連絡協議会や一般社団法人公認心理師の会などにおいて活動し、公認心理師の業務における認知行動療法と科学者-実践家モデルの重要性を主張した。海外で実際におこなわれている認知行動療法について調べるために、研究代表者および研究協力者は、世界行動療法認知療法会議などにおいて認知行動療法家がおこなうワークショップに参加して、認知行動療法の技法に習熟し、最新の情報を収集した。さらに、認知行動療法の基礎研究をおこない、それをワークショップに応用する研究をおこなった。日本心理学会、日本認知・行動療法学会、日本認知療法・認知行動療法学会などの学術大会や、公認心理師の会などの研修会において、公認心理師への認知行動療法の普及について、ワークショップ、シンポジウム、講演などを多数開催した。
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