研究課題/領域番号 |
17H02643
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
窪田 由紀 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (00258576)
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研究分担者 |
冨永 良喜 兵庫県立大学, 減災復興政策研究科, 教授 (50164033)
小林 朋子 静岡大学, 教育学部, 教授 (90337733)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 子どもの心理支援 / 災害 / 事件・事故 / デルファイ法 / ガイドライン |
研究実績の概要 |
本研究は、科学的知識が不足しているときに専門家の意見や経験を集約するデルファイ法を用いて,災害,事件・事故後の子どもの心理支援について,経験のある専門家の意見を集約し,ケースに共通して必要かつ重要だと考える支援方法を見出すことを目的としている。災害,事件・事故後の子どもの心理支援は個別性があるが,多くの心理の専門家が共通して,「心理士による災害,事件・事故後の子どもの心理支援として必要」と考える対応を明らかにしようとするものである。初年度である平成29年度は、先行研究や豊富な支援経験を持つ専門家の意見に基づく質問項目の収集、調査票の作成とインターネットでの調査システムの構築、条件を満たす研究協力者の募集、第1回目調査を行った。 調査は、災害,事件・事故後の支援に共通する基本的な考え方についての13項目、共通した対応に関する14項目、事件・事故後の支援に関する20項目、災害後の支援に関する9項目、計56項目について、同意の程度の9段階評価と自由記述からなっている。これらについて、インターネット調査会社と契約を結び、協力者がオンラインでいつでも回答できる体制を整えた。 専門家の意見集約という調査目的に即し、調査協力者としては、1)災害,事件・事故,両方の支援経験を持つ臨床心理士、2)(災害,事件・事故を併せて)3件以上の緊急支援経験を持つ、2)これまでに通算で3年以上のSC経験を持つ、4)メールをほぼ毎日確認しておりインターネット調査への回答が可能、という4つの条件をすべて満たす方とした。学校臨床心理士ワーキンググループの代表に依頼して、各都道県臨床心理士会の学校臨床担当のコーディネータに依頼をしたほか、学会や研修会の場や研究代表者、分担者、連携研究者等の知人など縁故法も併用して研究協力者を募集し、133名の協力者を得て、2月から4月の2ヶ月間でのインターネット調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3年間でガイドライン作成に至るよう、第1回目調査を平成30年2月~4月、第2回調査平成30年8月~10月、第3回調査:平成31年2月~4月に計画しているが、予定通り、準備を整えて2月初旬に調査を開始することができ、順調に回答も蓄積されている。
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今後の研究の推進方策 |
第1回調査は4月末を回答期限としているため、今年度の今後の作業としては、回答結果の集計・集約、分析、それに基づく第2回調査の準備を行い、8月~10月にかけて実施し、その後第1回調査終了後と同様の回答結果の集計・集約、分析、それに基づく第3回調査の準備と進み、平成31年2月~4月の第3回調査と進めていく計画である。 調査結果の集計・集約に際しては、①コメント欄の記述を項目ごとにCSV出力する、②「0~9」までの%を算出する、③平均値を算出する、④②と③に基づいて合意基準に達したかどうかの確認する。基準は「成澤ら(2013)にならい、70%以上の回答者が7点以上と回答し、かつ、平均点が7点以上の項目とした。」、⑤各項目において、自由記述を要約したコメントを作成する、⑥合意基準に達しなかった項目の表現を自由記述をふまえて修正する、⑦第2回調査のフォームを作成する、という段取りで進めていく。 具体的には、当面は、4月末で締め切られた結果について、上記の①、②、③、④までの作業を予め分担した行ったうえで、検討会を開催し、⑤~⑦の作業を行う。
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