研究課題/領域番号 |
17H02654
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
佐藤 隆夫 立命館大学, 総合心理学部, 教授 (60272449)
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研究分担者 |
妹尾 武治 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (40546181)
北岡 明佳 立命館大学, 総合心理学部, 教授 (70234234)
森川 和則 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (70312436)
蒲池 みゆき 工学院大学, 情報学部(情報工学部), 教授 (70395101)
天野 薫 国立研究開発法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳情報通信融合研究室, 主任研究員 (70509976)
北崎 充晃 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90292739)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 視知覚 / 立体知覚 / 物体知覚 / モナリザ効果 |
研究実績の概要 |
本研究には,モナリザ効果の持つ二つの側面,奥行き知覚の乖離,画面における面知覚の不成立のそれぞれに対して,実験的な検討を進め,最終的には,「枠の中の世界」の本質,2次元的に表現された3次元物体の本質に迫ることを目的とする.具体的には,以下の4項目に関して,心理実験,脳波実験からその現象を記述し,メカニズムを探る.(1)構成要素それぞれの知覚様態,要素間の相互作用,奥行き知覚の関与,(2)面知覚の不成立,(3)運動情報の関与,(4)対象の種類.研究計画全体は心理実験を主体とし,生理実験(主として脳波実験)は従属的なものとする.初年度である2018年度は,モナリザ効果の典型例を主として扱い,その後の研究のベースラインとなるデータを取得するために,以下の4項目を実施した.(1)心理実験用刺激(主として人:顔,上半身,全身)の選定および作成,実験用プログラムの作成.(2)心理実験用の装置の実装(視覚実験環境の整備).(3)構成要素それぞれの知覚容態,要素間の相互作用(人物画そのもの,背景テクスチャー,画枠,額縁),奥行き知覚の関与(ステレオスコープを用いた,単眼・両眼観察)に関する実験を実施.(4)運動視差実験装置の準備. 上記検討の結果,モナリザ効果の基本特性,画枠,および,背景テクスチャとの関係等を明らかにすることができた.上記検討に加え,顔幅の知覚に基づく,恒常性の生起に関する検討の基本的な検討,また,恒常性実験に用いる刺激タイプの選定を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初から予定していた基本特性等の測定を終え,恒常性崩壊の基礎検討にまで進むことができた.
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今後の研究の推進方策 |
2018年度は,同様の検討を進めるとともに,前年度準備した運動視差にかかわる実験を実施する.さらに,顔,上半身,前身のオリエンテーションをたずねる実験に加え,顔幅の知覚を指標として,形の恒常性の崩壊過程を探る実験を実施する.顔が正対して知覚されていれば,物理的に回転した肖像画の顔幅は狭く知覚されるはずである.予備実験の結果は恒常性の崩壊を示しているのだが,もし,形の恒常性が強く働くのであれば,顔幅は不変である可能性がある.回転角の大きさと,顔幅の評価結果を組み合わせれば,モナリザ効果と恒常性の効果の関係を見いだすことが出来る.また,両眼視差などのボトムアップ的決定性の高い情報と,画像性手がかり等のトップダウン的な手がかりの関係を探る端緒ともなる.画像性手がかり等のトップダウン的な手がかりは個人差が大きいことも想定されるので,個人差の検討も行う.刺激として,通常の顔,上半身刺激に加え,倒立顔,ネガポジ反転顔,さらに顔以外の物体,路地などの光景の写真も用い,刺激タイプの効果も評価する予定である.
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