研究課題/領域番号 |
17H02658
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
坪井 由実 北海道大学, 教育学研究院, 名誉教授 (50115664)
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研究分担者 |
辻村 貴洋 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (10546790)
宮田 延実 人間環境大学, 看護学部, 准教授 (10742520)
渡部 昭男 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (20158611)
篠原 岳司 北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (20581721)
柳林 信彦 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 教授 (30516109)
松原 信継 清泉女学院大学, 人間学部, 教授 (30593545)
伊藤 健治 東海学園大学, 教育学部, 准教授 (30781471)
藤岡 恭子 岐阜経済大学, 経済学部, 教授 (60457918)
福島 賢二 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (90582164)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 学習環境調査 / 学校自治 / 学校運営協議会 / 教育委員会 / 共同統治 / 分散型リーダーシップ |
研究実績の概要 |
2018年7月、全国の5つの自治体の13の小中学校の児童生徒、保護者、教職員等、約7,000人の協力を得て、学習環境調査を実施した。実施にさきだって、それぞれの自治体の教育委員会教育長または各学校長と、「学習環境調査に基づく対話のある学校づくり」プログラム開発研究チームとの間に、「『学習環境調査に基づく対話のある学校づくり』の実践的研究に関する連携協定書」を締結した。また、調査にあたっては、北海道大学大学院教育学研究院における「人間を対象とする研究倫理審査」を申請し承認されている。 9月末、学校ごとに、児童生徒、保護者、教職員、地域住民(学校運営協議会地域委員等)の四者について、集計結果を実数並びに帯グラフで表し調査結果の基礎データをまず提供した。続いて、11月中旬、13校全体の集計をもとに、児童生徒はじめ四者の学習環境モデル(パス図)を作成し、学校並びに教育委員会に提供した。これらの調査結果をもとに、12月から2019年3月にかけ、13小中学校のうち、8校で四者による対話集会(学校づくり会議)や教職員の研修などで対話の取り組みが展開された。 2019年2月から3月にかけ、学習環境調査に協力いただいた約7,000人のすべてに対して、学校ごとに「学習環境調査結果の概要について」を帯グラフと簡略化したパス図でその学校の強みと課題を提示し、今後の対話の取り組みの資料を提供した。 以上の調査分析と対話の取り組みへの参加(観察、ファシリテーターとしての参加等)のなかで、今年度は以下のツール(統計図表)を開発することができた:①学校毎の「四者別、12の環境因子別、4つの視点別、学習環境調査結果と因子得点(尺度平均値)一覧」 ②四者の意識のズレ・ギャップ(温度差)をチェックする対応設問リスト ③4つの視点ごとの三者(児童生徒、保護者、教職員)の学習環境因子の関係構造と因子間の影響力。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「学習環境調査に基づく対話のある学校づくり」プログラムの開発研究においては、学習環境調査票の開発とともに、そのデータに基づいた対話を学校構成員すなわち、児童生徒、保護者、教職員、地域住民の四者の参加のもとにすすめている。しかしながら、本調査に協力してくださっている13の小中学校では、これまで、子ども達の学びに対する意識状況について、教職員の間でも話し合う機会はほとんどないのが実態である。ましてや、四者が学校での学びについて意見交換を積み重ね、相互理解を深め学校目標(どんな学校を創っていくのか)を共有できるようにすることは非常に難しい。2018年度から学習環境調査を実施した8小中学校のうち3校では、学習環境調査に基づく対話が教職員の間でワークショップ形式により、教職員研修の一環として実施された。ほかの5校では、学習環境調査を従来の学校評価の代替として行っている位置づけであり、対話の取り組みを試みるにはいたっていない。鳥取県南部町の5小中学校では四者による「学校づくり会議」が2017年度より開催されているが、それまでに3年間を要している。2019年度は、昨年度の経験を踏まえ、二者、三者そして四者による対話の取り組みへと発展させていくことの意義を話し合いながら各学校で取り組めるようにしたい。
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今後の研究の推進方策 |
三年目(最終年度)のプログラム開発研究では特に以下の点を重点的に推進する。 (1)学習環境調査の1本化:2018年度は鳥取県南部町立の5つの小中学校用(すでに2回実施した調査票をそのまま利用)と、その他の4つの自治体の8小中学校用に分けて実施していたが、2019年度は統一の調査票にする。 (2)2018年度に開発したツールのさらなる改良:「因子得点(尺度平均値)を加えた学習環境調査結果一覧(四者)」、「四者の意識のズレ・ギャップ(温度差)を浮き彫りにするチェックリスト」「4つの視点別簡略パス図」「三者の学習環境因子の構造」について、さらに対話の素材としてより分かりやすく改良する。 (3)11~12月の各学校への調査結果の説明会の改善:2018年度は、説明会において四者の参加のもとにワークショップ形式の対話が実施できたのは、わずか1校であった。なかには、調査結果の説明を校長1人に対して行ったり、校長と教頭など一部の教職員に対して説明することが多かった。2019年度は、できるかぎり四者に対して直接説明できるように働きかけていきたい。 (4)「学習環境調査に基づく対話のある学校づくり」プログラムとして研究をまとめる:それぞれの学校が、独自に学習環境調査を実施し、パス図以外はそれぞれの小中学校で分析し、そのデータに基づく四者の対話を推進していくことができる手引きを作成する。
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