研究課題/領域番号 |
17H02670
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研究機関 | 和光大学 |
研究代表者 |
太田 素子 和光大学, 現代人間学部, 名誉教授 (80299867)
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研究分担者 |
椨 瑞希子 聖徳大学, 教職研究科, 教授 (30269360)
浅井 幸子 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 准教授 (30361596)
小玉 亮子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (50221958)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | プロジェクト・アプローチ / 教育ドキュメンテーション / 幼児期の学び / 探究的保育 / 幼小接続 |
研究実績の概要 |
2018年度は、イギリス調査で交流したMadeley Nursery (Telford) のLouise Lowings 女史を招聘し、お茶の水女子大学および和光大学で、メイドリーナーサリーにおけるプロジェクト活動とドキュメンテーションに関する講演会を開催した。この講演会には、お茶の水女子大学附属幼稚園や、正和学園の町田自然幼稚園ほか3園の先生方を招待、あるいは共催して、交流の機会として取り組まれた。和光鶴川幼稚園の見学交流事業も同時に行っている。この時の講演で紹介された保育実践記録、教育ドキュメンテーションは翻訳し、全文を公刊した。また、スウェーデン、イギリスとの交流事業をもとに幾つかのプロジェクト活動の翻訳と分析に着手、研究成果の一部が公刊された。 日本のプロジェクト活動に関しても研究に着手し、特に歴史的な方法でプロジェクト・メソッドからプロジェクト・アプローチへの展開を跡付けて、国内・国際学会で報告を行った(ECCERA2018 Budapest, 教育目標・評価学会 於和光大学)。 さらに2019年3月には、再度イギリスを訪ね、Madeley Nursery Schoolで観察記録を採取、スタッフの省察を会議に参加して傾聴した(東大科研チームと共同)。また、チーム・メンバーが翻訳事業に参加している“Beyond Quality”の著者の一人である、Peter Moss博士と面談、日本と英国におけるプロジェクト・アプローチの研究の現状について話し合い、いずれ機会を作って日本へ招聘することを提案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スウェーデンおよびイギリスのReggio inspired の実践家、研究者との交流が着実に深まり、本確的かつ継続的な研究交流の土台が形成されつつある。継続的な研究交流に対してスウェーデンの関係者も、またイギリスの関係者も意欲的だ。 また、これまで4人のメンバーは主に歴史的な方法でプロジェクト・アプローチの研究を行ってきたのだが、保育現場の実践者との研究・交流が生まれ始めた。レッジョ・アプローチへの現場の関心は深く、具体的なプロジェクト実践例やドキュメンテーションの紹介は幾つかの保育施設で実際に参考にされ始めた。研究を歴史的に理論的な系譜としてまとめることは最低限の課題と考えているが、実践的なレベルでもその思想と方法についてより具体的な提案をまとめられると良い。 さらに、教育目標・評価学会で報告したことをきっかけに、ナラティブなドキュメンテーションの評価論としての役割についても視野に置くようになってきた。
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今後の研究の推進方策 |
1、最終年度なので、日本におけるプロジェクト・メソッドとプロジェクト・アプローチの歩みについて、全体像というよりは、その一部でも深い考察をまとめたいと考えている。報告書か著作を作成する。 2、スウェーデンとイギリスとの共同研究を継続的な取り組みにする方向で、何ができるか具体化する。ドキュメンテーションの交換と相互訪問などが考えられる。 3、レッジョ・アプローチについて永年関わりを持ち、実践の哲学上の諸問題を考察してきたPeter Moss 博士(ロンドン大学名誉教授)を招聘し、この研究チームの研究経過と成果について検討していただく。お茶の水女子大学において、講演会を開催する。 4、引き続き研究成果を国内、国際的な学会において報告する。(日本保育学会、ECCERA2019 テッサロニキ、WERA2019 東京など。)
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