研究課題/領域番号 |
17H02671
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研究機関 | 國學院大學 |
研究代表者 |
多和田 真理子 國學院大學, 文学部, 准教授 (00646268)
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研究分担者 |
西島 央 首都大学東京, 人文科学研究科, 准教授 (00311639)
瀬川 大 日本女子体育大学, 体育学部, 准教授 (20637334)
木村 元 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (60225050)
大西 公恵 和光大学, 現代人間学部, 准教授 (70708601)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 教育史 / 地域史 / 学校所蔵文書調査 / 史料保存 |
研究実績の概要 |
山間地域における学校と地域との関係を明らかにする史料群として、昨年度に着手した、長野県飯田市の旧木沢小学校所蔵文書の調査を本格的に進めた。2回の大規模調査をはじめ、聞き取りや関係文書の探索を行った。 文書調査の過程に関する情報を公開するとともに、史料の位置づけや特徴、調査成果の一部を還元するため、2018年8月には飯田市で開催された地域史研究集会において研究発表を行った。史料の一部である『学校要覧』に焦点をあて、昭和40年代以降、地域の産業構造が変化する中で学校側が木沢地区の子どもたちをどのように捉え、どのような教育に力を入れるべきと考えていたかを分析したものである。また、現在も地域の人たちの尽力により旧校舎が残され、活用されているという状況そのものが、本研究の関心である学校と地域との関係性の強さ、地域における文化的支柱としての学校というイメージを具体化していると認識し、校舎保存運動の中心的役割を果たしている地域団体の方との対談形式で発表を行った。 これまで文献史料調査を主にすすめてきたが、今後は地域に住む人々や、学校出身者などに対する聞き取り調査も積極的に行っていく必要がある。そのため、2019年1月には旧木沢小学校舎において、主に地域の人たちを対象とした研究成果報告を行った。 また、ここまでに取り組んできた学校所蔵文書調査の成果と課題について、報告あるいは論文執筆を行う機会があった。これまでにも議論を進めてきたところであるが、あらためてメンバー間で議論を行い、成果に結びつけた。 これまでの学校所蔵史料調査の成果分析については、引き続き各自の設定したテーマにもとづく研究を行い、一部の成果公開に結びつけた。本研究の目的である、旧市街地・市街地近郊農村・山間地域の比較的視点も得られつつあり、総合的な分析をも視野にいれつつ成果の公開に努めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究において新たに着手できた、旧木沢小学校所蔵文書調査について、現地調査や文献調査を今年度も集中的に行った。この点に関しては当初の計画通り順調に進展している。 ただし、これまでにすでに収集してきた史料の分析作業については、各研究分担者が各自のテーマにもとづき作業を継続しているが、研究成果の公開についてはまだ部分的なものにとどまっている。また、上記調査は史料群が当初の想定よりも大きかったこと、聞き取りなど文献以外の調査が喫緊の課題であることなどから、長期的な取り組みになることが予想される。そのため、今後の研究計画の遂行にも再検討の余地があると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
長野県飯田市旧木沢小学校所蔵文書の調査については、本研究の主目的である地域社会と学校との文化的関係性を検討するにあたり重要度の高いものと位置づけられるため、長期的かつ集中的に取り組みたい。2回程度の大規模調査と、少人数調査などを組み合わせて行う予定である。 また、本研究における調査と並行して検討を続けてきた、学校所蔵文書の保存活用という課題についても、引き続き文書調査を進めつつ検討すべき対象として、意識的に取り組みたい。近年、学校史料の保存活用についての議論が進展しつつあり、そこでは本研究における取り組みやその成果も参照されている。この状況をふまえ、本研究にそくした事例検討や議論を展開し、情報共有や成果の発信を積極的に進めていきたい。 上記テーマに加えて、研究分担者・連携研究者が分担して取り組んでいる個別テーマについても、継続的に史料分析および論文執筆を行う。定期的に研究会を実施し、成果の共有を行う。
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