研究課題/領域番号 |
17H02674
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研究機関 | 国立教育政策研究所 |
研究代表者 |
千々布 敏弥 国立教育政策研究所, 研究企画開発部教育研究情報推進室, 総括研究官 (10258329)
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研究分担者 |
小柳 和喜雄 奈良教育大学, 教職開発講座, 教授 (00225591)
久野 弘幸 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (30325302)
サルカルアラニ モハメドレザ 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (30535696)
木原 俊行 大阪教育大学, 連合教職実践研究科, 教授 (40231287)
木村 優 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成・院), 准教授 (40589313)
柴田 好章 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (70293272)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 授業研究 / 校内研究 / 指導主事 / 組織文化 / 組織開発 |
研究実績の概要 |
昨年度は研究の3年目として、プロフェッショナル・キャピタルの主要要素である意志決定資本の有効性を検証する調査研究を実施した。国内の教師約1000名を対象に授業研究における集団意志決定場面、自己効力感、協働状況等を尋ねる質問紙を送付し、因子分析したところ、おおむね調査票の枠組みどおりの因子が抽出された。共分散構造分析の結果、協働は意志決定を通じて自己効力感に影響し、自己効力感に最も強く影響するのは集団意志決定であることが示された。調査票設計においては、個人レベルの意志決定場面を問う設問も設けていたが、それが因子として抽出されることはなかった。調査票設計上の問題なのか、枠組みの問題であるのかは今後の課題として残った。 授業研究の効果を示す先行研究は多いが、授業研究の取り組み内容とその効果の連関を構造的に示すものはない。このたびの作業を通じ、授業研究における目標設定、指導案検討等の集団意志決定過程が教師の自己効力感に影響する構造を明らかにすることができた。 本研究のこれまでの取り組みを通じ、日本で実践されている授業研究には多様な類型が見られることが明らかになったが、その効果を比較分析する視点が得られていなかった。今年度の成果により、多様な類型の授業研究の効果を検証する上で、意志決定過程という視点が有効であることを示すことができた。 最終年度に向けて、授業研究の類型とプロフェッショナル・キャピタルを把握する枠組みを確定し、相互の連関構造を明らかにしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プロフェッショナル・キャピタルの枠組みにおいて最も先行研究が不足している意志決定資本の構造を明らかにできたことは本研究の大きな成果である。授業研究の類型についてはこれまでの事例調査で仮説的な枠組みはできているものの、質問紙調査を実施する枠組みとしては不十分であり、その点の練り上げが今年度の課題である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の最大の課題は授業研究の類型を把握する枠組みである。先行研究及び本研究のこれまでの取り組みにより、技術志向対内省志向、教科の目的志向対子供の学び志向、外部指導者の専門家的指導対コンサルテーション的指導等の対立軸を明らかにしているところであるが、別の軸の探索と教育委員会の指導が与える影響も視野に入れた枠組み構築を目指している。
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