研究課題/領域番号 |
17H02677
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
両角 亜希子 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 准教授 (50376589)
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研究分担者 |
川嶋 太津夫 大阪大学, 高等教育・入試研究開発センター, 特任教授(常勤) (20177679)
小方 直幸 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (20314776)
福留 東土 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (70401643)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 大学経営 / 上級管理職 / 学長研修 / 大学財務 / 教育担当理事・副学長 / リーダーシップ / アクションリサーチ |
研究実績の概要 |
本科研では大学の上級管理職の育成に関する基礎的な研究とアクションリサーチを行うことを目的としている。2019年度は主に以下の4つの作業を行った。 第一は、学長研修の試行である。2019年12月に第2回私立大学の初任者学長セミナーを実施した。午前中は第1回の参加者のみが参加し、午後はその参加者に加えて、就任1年未満の初任者学長・学長就任予定者が参加し、講演、班別討議、情報交換会を行った。参加者が多く、初任者学長の研修ニーズを具体的に把握し、ネットワーク構築をサポートする礎を構築できた。次年度には初任者学長の抱える課題や研修ニーズなどについて、体系的に論文としてまとめる予定である。第二は、大学の財務担当理事調査の分析と理事・副学長向けの研修の実施である。2019年10月に全国の国公私立大学の財務担当理事・副学長等、約70名の参加を得て、実施した。セミナーでは調査結果の概要を報告したうえで、班別に分かれて議論を行い、大学財務の現場で抱えている課題感や工夫を具体的に把握した。研修の記録は、アンケート調査の結果とともに、報告書にまとめ、2020年4月に発行し、ウェブサイトで公開した。第三は、教育担当理事・副学長に対するアンケート調査である。2020年2月に実施した。新型コロナウイルスの感染が広がり、各大学の担当者は多忙を極めた時期であったが、協力依頼を丁寧に行い、3月末まで回答期限を延期したことによって、4割近い大学に回答してもらった。次年度はこのデータを分析し、結果を公表していく。第四は、これまでの研究成果を書籍(両角亜希子編『学長リーダーシップの条件』東信堂)として刊行したことである。上級管理職の育成について研究成果を発信し、研修を試行する中で、上級管理職たちから研究成果を書籍の形で読みたいという要望が多く寄せられるようになり、研究期間の途中ではあるが、書籍を刊行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画以上に進展していると自己評価している。主な理由は2つある。第一は、研究計画書では学長研修は1回の試行のみの予定であったが、参加者からの要望が強く、2回目も実施し、今後も継続予定であること。第二は、科研の最終年度を待たずして、これまでの成果を書籍として刊行していることである。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度が本科研の最終年度である。今年は大きく3つの研究計画を予定している。第一は、2020年2月に実施した教育担当理事・副学長調査を分析し、その研究成果をまとめて発信することである。すでに第一次報告書の作成に取り掛かっている。第二は、上級管理職に対するインタビュー調査の実施である。初任者学長、財務担当理事などに対する研修を行い、それぞれの工夫や悩み・課題などを把握してきたが、より詳細に話を聞きたい対象が出てきたため、今年度はインタビュー調査を実施する。ただし、本研究の対象者である大学の上級管理職はコロナウイルス対策で最前線で対応を迫られており、通常以上に多忙で混乱を極めた状態にある。そうした被調査者の状況に配慮をしつつ、協力してもらえる範囲で、オンラインでのインタビュー調査を実施する予定である。第三は、学長セミナー等の実施である。毎年12月に実施しているが、新型コロナウイルスの関係で、対面での実施は難しいと考えている。むしろ学長同士が互いに情報交換や意見交換をしたいという要望は高まっている可能性もある。インタビュー調査でそれらのニーズや仕事の実態を把握しつつ、オンラインでのセミナー実施を含めて、どこまで従来に近い内容ができるのか、検討する。
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