研究課題/領域番号 |
17H02680
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
南部 広孝 京都大学, 教育学研究科, 教授 (70301306)
|
研究分担者 |
杉本 均 京都大学, 教育学研究科, 教授 (50211983)
楠山 研 長崎大学, 教育学部, 准教授 (20452328)
石川 裕之 畿央大学, 教育学部, 准教授 (30512016)
田村 徳子 びわこ成蹊スポーツ大学, スポーツ学部, 講師 (10738850)
中島 悠介 大阪大谷大学, 教育学部, 講師 (60780939)
奥原 雅幸 (渡辺雅幸) 京都大学, 地域連携教育研究推進ユニット, 特定講師 (00780909)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 教育学 / 大学院教育 / 学位制度 / 後発国 |
研究実績の概要 |
4か年の研究計画の初年度にあたる平成29年度には、①分析枠組みの検討、②各国の大学院教育及び学位制度に関する文献資料の収集・分析、③各国の大学院教育及び学位制度に関する現地調査という3つの作業を行った。その過程で、研究枠組みの共有と各研究者が分担している対象国の情報を整理することを目的として研究打ち合わせ会議を行った(平成29年9月)。 ①に関しては、申請時に仮説的に設定した分析枠組みの精緻化を図るために、大学院教育及び学位制度に関する理論研究の収集を行い、その分析を進めた。あわせて、教育制度の転移や教育借用に関する先行研究の検討を行った。 ②及び③については、研究代表者、研究分担者(6名)、研究協力者(1名)で分担して作業を進めた。本研究開始時点ですでに資料の収集・分析が比較的進んでいた韓国、中国、台湾等についてはそれを基礎として先行的に取り組み、それ以外の対象国に関しては大学院教育及び学位制度の変遷と現況に関する資料収集を行った。また、本研究課題の経費による訪問のほか、その他の様々な訪問の機会を利用して、中国、韓国、シンガポール、エジプトにおいて、大学関係者、研究者などを対象とした聞き取り調査及び一次資料の収集を実施した。さらに、北朝鮮における学位の取得に関する具体的な情報を入手することを目的として、国内の研究者を対象にした聞き取り調査を行った。 こうした資料収集や調査をふまえて、日本を含む10か国・地域における大学院入学者選抜に関する資料を訳出・整理した中間報告書(第1冊)を刊行した。この報告書にはこれまで日本では知られていなかった情報も含まれており、本研究課題において第2年度以降に大学院教育や学位制度について研究を進めていく基礎資料になるとともに、他の研究者や関係者に対する情報提供を行うことができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
4カ年の研究計画は研究開始前の準備と参加する研究者(研究代表者、研究分担者、研究協力者)それぞれのこれまでの国別研究をふまえて構想されており、初年度にあたる平成29年度は、これらを基礎として研究目的に沿って研究が進められた。大学院教育及び学位制度の導入と変容に関する理論的検討では、教育制度の転移や教育借用に関する先行研究や、大学院教育制度に関する理論的研究を渉猟し、本研究課題における分析枠組みの検討を進めることができている。また、各国の分析では、課題に取り組む研究者によって分担され、それぞれの国・地域における大学院教育及び学位制度の歴史的変遷と現状、改革の展開などについて文献調査、現地での聞き取り調査を実施した。直接訪問することが難しい北朝鮮に関しては、国内研究者に対する聞き取り調査を行った。平成29年度に予定していた現地調査のうちいくつかの国については実施することができなかったが、文献調査を積極的に進めることによって補完した。大学院教育及び学位制度には様々な下位制度が存在しているが、初年度には特に大学院入学者選抜制度に注目して資料収集と整理・訳出を行い、10か国・地域の関連資料を収載した中間報告書(第1冊)として刊行することができた。資料が収載されている国・地域は具体的には、日本、韓国、中国、台湾、ベトナム、シンガポール、インド、ブータン、ヨルダン、ブラジルである。
|
今後の研究の推進方策 |
初年度は研究計画に沿っておおむね順調に展開できたので、第2年度となる平成30年度以降も引き続き、全体的な研究枠組みの検討・精緻化を進めるとともに、本研究に参加している研究者による国別研究を実施する。国別研究では、文献調査と現地での聞き取り調査及び一次資料の収集を組み合わせて実施するが、第2年度においては、初年度の文献調査を中心とする成果をもとに現地調査を積極的に展開して、大学院教育及び学位制度の歴史的経緯とともにその現状や改革の動向に関する情報収集に努める。海外での現地調査は、当該国・地域の政治的社会的状況や自然条件によっては実施できなくなることもありうるが、その場合には、よりきめの細かい文献調査や、国内外での研究者ネットワークを通じた情報収集によって補完していくものとする。また、第2年度にも研究成果をとりまとめた中間報告書(第2冊)の刊行を予定しており、その公表等を通じて研究内容のよりいっそうの深化を図りたい。
|