研究課題/領域番号 |
17H02712
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研究機関 | 広島工業大学 |
研究代表者 |
竹野 英敏 広島工業大学, 情報学部, 教授 (80344828)
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研究分担者 |
井上 和重 広島工業大学, 情報学部, 助教 (10796022)
青木 真吾 広島工業大学, 情報学部, 准教授 (80364024)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 初等教育 / プログラミング学習 / 教材開発 / 評価 / 光トポグラフィ / 視線計測 |
研究実績の概要 |
本年度は,前年度に構造化を図った英国(イングランド)で定義されているコンピュテーショナル・シンキングを育むための学習課題を元に作成した「プログラミング学習環境Scratchを利用して開発したプログラミング教材」の学習効果について,脳血流量,視線,及び調査協力者へのインタビューから検討した。 検討した方法は,Scratchの基本操作を知らない健康な大学生10名を調査協力者として,実験室を整え(静寂(Dr-40),気温,湿度,照度の条件),34chのウェラブル光トポグラフィ装置WOT-HS34Mを用いての前頭葉の酸化ヘモグロビン(Oxy-Hb)濃度変化と,Tobii Pro グラス 2を用いての視線移動を指標にして,検討した。 その結果,出発点から目的地まで到達する道順を探すようなゲーム的な活動を行う学習は,一見すると論理的思考を育めそうではあるが,場当たり的に何も考えずに試み,失敗を重ね,偶然に目的地に到達するという活動になりやすい。このような活動をさせた場合は,前頭葉の酸化ヘモグロビン(Oxy-Hb)濃度変化はあまり変化しないことが明らかになった。そのため,出発点から目的地まで到達する道順を論理的に推論させてから,推論通り計画的に活動させる学習を意図的に仕組ませることに意味があることが明らかになった。 実験の結果から,系統的な教科横断型カリキュラムや,開発したプログラミング教材の年間指導計画,指導案,モデル教材,ワークシート,指導資料の修正を行い,広島市教育委員会と連携を図り,開発した教材を用いた継続的な実証的研究調査を行い,開発した教材,指導法の再評価を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度の計画である以下(1)(2)(3)について,概ね成果を得ることができたため。 (1)教材(年間指導計画,指導案,モデル教材,ワークシート,指導資料)の修正を行うことができた。 (2)プログラミングの経験者と未経験者の大学生それぞれ10人を対象に,作成したワークシート,教材,指導案を用いて,脳波測定,脳血流量測定,視線測定及びインタビュー調査を行い,指導案,ワークシート等の効果について検討し,教材,指導法の再評価を行うことを予定していたが,脳血流量と脳波の同時計測が機器の都合から不可能であったが,その他は概ね予定通り行うことができた。 (3)開発した教材を用いた継続的な実証的研究調査を行い,開発した教材,指導法の評価を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は,系統的な教科横断型プログラミング学習のまとめをする。報告書,指導資料教材(年間指導計画,指導案,モデル教材,ワークシート,指導資料)を刊行するとともに,小学校において実際に試用していただき,教員側・児童側の両面から実践事例の収集を図るとともに検証を継続する。また,日本教科教育学会等で発表し,広く成果を公開する。 具体的には,6月から教材資料の作成,指導資料の作成,学会発表の準備を開始し,7月には,教材資料の有効性について小学生を対象にして実証授業を行うとともに,小学校教員に教材・指導資料の有効性について評価をしてもらう。8月には,その結果についての分析を行い,9月に教材資料・指導資料の有効性についての実証研究のまとめを行う。10月には,検証結果をもとにして教材資料・指導資料の修正を行うと同時に9月にまとめた研究結果を学会発表する。11月には科研報告書の作成を開始し,1月をめどに教材資料,指導資料,報告書のまとめを完了し,公開する。
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