研究実績の概要 |
【目的】tDCSでの刺激後に言語処理活動がどのように変化するかを確認するために、まず、P600を惹起する言語刺激を確定することを目的とした。【方法】刺激文として、袋小路文(祖父が庭で転んだ孫を助け起こした)、構文の再校正を生じない単文(祖父が庭で転んだ)、構文の再構成を生じない重文(祖父が庭で転んで孫を呼んだ)の3つのパターンの文章を各100文ずつ用意した。文章はすべて日本語であった。用意した300文は、15文を1セットとし、20セットとした。対象者は日本語を母語とし、日本語を話す正常成人話者10名であった。文章をモニター上に1文節ずつ提示し、袋小路文と判断した場合に対象者にボタン押しを要求する課題を行った。対象者には「3語目の動詞の主語が1語目で内と判断したらボタンをおしてください」と教示した。課題を実施する際の対象者の反応について、脳波計を用いて事象関連電位を計測した。探査電極は、F3,Fz,F4,C3,Cz,C4,P3,Pz,P4の9電極であった。得られたERPについては、500から700ミリセカンドで生じる陽性成分の偏位について分析した【結果】被験者が袋小路文で正しくボタン押しを行っているかどうかを検討したところ、正答率はすべての被験者で95%を超えていた。被験者すべてが3種類の文章を区別できていると推測できた。ERPを観察したところ、袋小路文のPzにおいて、500ー700ミリセカンドの位置に陽性方向に電位の変化が認められた。重文と袋小路文との500ー700ミリセカンドでの偏位についてt検定をおこなったところ、有意な差は確認できなかった。対象者を増やして確認する必要があると考えられた。
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