研究課題
基盤研究(B)
本研究では、単層カーボンナノチューブ(SWNTs)の化学修飾によって、その近赤外発光波長の制御する方法の構築を行い、970 nmに発光を有する(6,5) SWNTsについて1100 nmから1268 nmの範囲で選択的に発光を発現させる分子変換法の構築を達成した。ここでは、化学修飾に用いる反応基質の立体効果や付加様式を速度論的、あるいは熱力学的に制御する方法を開発するとともに、その仕組みについて理論計算と実験結果の比較から明らかにした。さらに、SWNTs付加体の精密分離と光学分割を実現した。
有機化学
近赤外発光は、リアルタイムで深度の深いバイオイメージングや光通信技術への応用が期待されている。これまでにSWNTsを近赤外発光材料として用いた研究が進められてきたが、量子収率が低く、波長選択性に制限があった。本研究成果により、発光波長の選択性が広がり、また、量子収率が向上したことから、実用化研究においても有意な材料としての付加価値が高まった。さらに、SWNTsの付加様式を検証する方法として発光分析が有効であることを実証し、SWNTs付加体の高純度化を達成したことから、広く基礎研究や応用研究に貢献する成果である。