研究課題
本研究は、高効率蛍光集光デバイスである「ナノ光ファイバ」にプラズモニック構造を形成して水中や生体内でも高い蛍光集光効率を実現し、化学分析デバイスとしての応用開拓をめざす。最終的には金ナノチップ構造をナノ光ファイバ先端に形成することで、一分子からの蛍光を効率的に光ファイバに結合させることを目標としている。このデバイスを試料溶液や生体などに挿入すれば、微弱蛍光やラマン散乱を容易かつ高感度に測定可能な化学分析デバイスとして利用できる。H31年度は、①片端ナノ光ファイバの生体挿入実験、および、②ナノ光ファイバと複合化する蛍光ナノダイヤモンド(ND)のセンサ応用に関する研究を行った。①に関しては、モデル生物である線虫を対象にしてファイバの挿入条件検討を行った。まず、マイクロインジェクションに用いられるナノピペットをガラスキャピラリーから作成し、線虫への挿入条件(先端径や挿入距離)とナノピペットの形状プロファイルの相関をとった。これにより機械的強度という観点からナノ光ファイバの最適形状を調査した。機械特性と光損失断熱性の両方を満足し得る形状プロファイルを知ることが可能となり、挿入用ナノ光ファイバ作成の指針を得ることに成功した。②のNDセンサ応用に関する研究では、NDを線虫やガン細胞、肝星細胞に導入して、内部での蛍光検出磁気共鳴信号の測定に成功した。また、細胞の温度変化を正確に温度計測することにも成功した(論文執筆中)。光ファイバ端にNDを複合化したデバイスを用いて、温度感受性TRPチャネルを発現させた神経細胞の温度特性を調べる研究が最近報告されている(Ermakova et al., Nature Communications (2017).)。ナノ光ファイバでもNDとそれにプラズモニック構造を統合したデバイスとして細胞や生体の精密温度計測に展開できると考えられる。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (19件) (うち国際学会 11件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
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