研究課題
CNTは堅牢な構造を持っているため、生体内で分解されにくく、実用化する際に安全上の懸念が非常に大きい。本研究では、近赤外光吸収法を用い、生体組織内のCNT量の測定方法を開発し、免疫細胞と実験動物を用いてCNTの生分解性能を定量的に評価し、CNTの生分解速度とその物理化学特性の関連性を解明する。本年度では研究計画した通り進展し、昨年確立した生体組織内CNT量の測定手法を用い、動物マウスの肝臓や肺内のCNTの蓄積量を測定し、CNTの組織内の生分解性を調べた。異なった直径の2種類の単層CNT、SG-CNT(直径1-5 nm、Ld-CNT)とCoMoCat SWNT (直径0.7-0.8 nm、Sd-CNT)を用い、CNTの生体内分布のサイズ依存性も明らかにした。BSAで分散した各CNTの分散液をマウスに単回尾静脈内投与し、投与後24時間、3日、7日、30日及び60日の各ポイントにCNTの肝臓や肺組織内の量を測定した。その結果、CNTの組織内の蓄積量はサイズ依存性があることが確認した。例えば、肝臓と脾臓内には直径が大きいLd-CNTの蓄積量が多いが、肺には直径が小さいSd-CNTの方が多かった。 また、肝臓および肺溶解物中のLd-CNTおよびSd-CNTの濃度は、時間とともに有意的に減少し、CNTが組織内に生分解される可能性があることを示された。特に、肺内のLd-CNTとSd-CNTの量は、投与後60日にほぼゼロに減少した。この結果から、少量なCNTが肺に侵入された場合は、生分解される可能性があり、毒性が少ないと考えられる。また、本年度では、次亜塩素酸ナトリウムによりCNTが完全に分解されることを発見した。この技術を利用して、市販されている11種のCNTの完全分解されることを確認し、CNTの分解半減期を測定した。CNTの生分解速度とCNTの直径依存性があることを明らかにした。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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