研究課題
グラファイトの化学剥離で得られる酸化グラフェン(GO)の超高温熱処理により、単層グラフェンの優れた物性をもつ低欠陥・乱層・多層グラフェンを形成すること、さらに乱層構造の物性優位性を検証することが目的である。これまで、原材料のGOについて、乱層形成に適した層数・酸化度・サイズに構造制御して単層かつμmスケールのGO分散液の製造技術開発を進めてきた。量産性の向上にむけて電気化学プロセスによるインターカレーションを利用した酸化・剥離法を開発し、精製コスト削減や均一な酸化を可能とした。高空隙GOからの低欠陥・乱層構造グラフェン形成において様々なスペーサー材料を導入して層間隔を制御し、単層性の向上を図った。添加するスペーサ材料としてセルロースナノファイバー(CNF)に加え、径や長さの異なるナノダイヤモンド(ND)やカーボンナノファイバを検証した。特にNDを用いた積層膜の場合に膜内部まで均一に単層性が向上することを明らかにした。スペーサー・GO相互作用を制御し、膜構造の均一性向上のためにpHや官能基置換でゼータ電位を調整する効果を検証した。pH=5程度の弱酸性の場合に均一性や単層性が向上することを見出した。3DグラフェンであるGOスポンジを作用電極として、酸化/還元反応などの電極活性を評価した。超高温処理で欠陥を低減した高結晶性の場合よりも、欠陥が多く残留する場合の方がむしろ高活性であった。今後、低欠陥グラフェンへの人為的な欠陥導入により、欠陥が電極活性に及ぼす効果を解明へと展開する。物性解析に適した試料として、グラフェンテンプレート上CVD法で作製した低欠陥・乱層構造グラフェン薄膜作製した。そのキャリア輸送特性の層数・測定温度依存性を解析し、単層に類似した輸送特性や環境効果のスクリーニング効果を明らかにし、高性能チャネル材料としての乱層グラフェンの優位性を示した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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