研究課題
(1)PMN-PTの組織観察を行った結果、<100>に平行な数十nmサイズのドメインと<110>に平行な数百nmサイズのドメインが観察された。微細ドメイン構造の鮮明な可視化には表面汚染の無い高品質な電子顕微鏡試料が必要であり、本年度導入の高真空ランプ加熱装置(LF4-CUBE)による表面汚染除去が有効である。(2)1 kV/mmの電場印加によりドメイン構造が変化する様子を時間分解能2.5 msでその場観察した。電場印加方向は<100>ならびに<110>である。電場印加により、微細なドメイン構造のコントラストが消えた。これは電場方向への分極反転によると考えられる。電場を除荷すると再び微細ドメイン構造が現れたが、完全に可逆ではなく、細部が異なっていた。(3)電場印加によるドメイン構造変化(TEM像コントラストの変化)の速度には分布が見られた(8 fps~60 fps)。これは試料厚さの違いや表面拘束の影響に起因すると推察される。(4)電場印加により、各ドメインは時間経過と共にコントラストを変え、分極反転が進行した。このときドメインの隅から緩慢に形態変化(コントラスト変化)が始まり、その後、ドメイン内部へと急激に形態変化が進行した。(5)分極反転過程の画像を詳細に解析した結果、分極反転は多段的な変化であることが判明した。反転途中で急激なドメイン形態変化が生じる区間(~20ms)が存在し、その変化速度は6~8μm/sであった。Kolmogorov-Avrami-Ishibashiモデルに基づいて分極反転過程を解析した結果、得られたn値は2.4~3.2であり、観察されたドメイン形態変化は2次元的な現象であることが判明した。(6)高速カメラを搭載した超高圧電子顕微鏡内での電場印加その場観察により、分極反転の一端をミリ秒オーダーで捉えることができた。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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ACS Omega
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