研究課題
本研究では、熱電材料の実用化を阻んできた2つのパラドックスに対して、独自の切り口と材料で高性能化原理の突破口を開くことを目的にする。具体的には、高電気伝導・低熱伝導の要求に対して、発見したナノ・ミクロ多孔による熱電高性能化(nanotech2016大賞プロジェクト賞受賞)を他の熱電材料に活用し、高性能実用化材料を開発する。一方で、高ゼーベック係数・高電気伝導の要求に対して、発見したナノコンポジットにおける複合効果の解明と一般材料への活用を行い、原理として発展させる。本年度の実績としては、ナノ・ミクロ多孔創製による熱電高性能化において、新規な成果として、これまで希土類フリースクッテルダイトと全く別の、資源豊富な鉱物系パラコスティバイト材料系においても、同様の戦略により、低融点で蒸発性の第二相添加により、性能指数の倍増増強に成功した。その他にも、低融点第二相添加による多ホウ化物の焼結性・創製方法の大幅な改良や、ドーピング制御をきっかけに複数の材料系の高性能化が得られた。一方で、ナノコンポジットの作戦において、絶縁性の酸化物MgTi2O5において、金属性のTiNを複合化させることで、電気伝導率を~125,000倍増大すると同時に、ゼーベック係数は60 mV/K以上の比較的大きい値を取ることに成功した。金属TiNを添加しながら、条件によりコンポジット化による熱伝導率の低減も得られた。熱伝導材料として全く考えられなかった低性能の絶縁材料においても比較的高性能が得られることを示した。他にも、析出物などの導入によりGeTeにおける欠陥形成を制御し、性能指数ZT~2の極めて高性能を達成した。当初のコンポジット材料のターゲット材料の多ホウ化物材料においては、基盤物質の理解や合成改良が行われた。以上の本研究の成果は、注目され、国際会議で複数の招待講演が行われて、国際誌論文15編出版・アクセプト済みで、成果公表を積極的に行った。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (15件) (うち国際共著 6件、 査読あり 15件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 5件、 招待講演 7件) 産業財産権 (1件)
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