研究課題/領域番号 |
17H02756
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
石黒 孝 東京理科大学, 基礎工学部材料工学科, 教授 (10183162)
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研究分担者 |
山本 貴博 東京理科大学, 理学部, 助教 (30408695)
谷口 淳 東京理科大学, 基礎工学部電子応用工学科, 教授 (40318225)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 赤外顕微鏡 / 水熱反応 / 光触媒 / 細胞 / 光合成 / ATP / FT-IR / 二酸化炭素 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は従来になく長時間安定して測定可能な赤外分光顕微鏡を実現し、生きたままの細胞の代謝、葉緑体の光合成反応、光触媒反応、金属膜の水熱反応等の逐次その場観察を実現することである。 H29年度はリニアアレイ検出器を搭載した顕微赤外分光顕微鏡を導入し、これに長時間冷却可能な液体窒素デュワーを装着した。温度擾乱を避けるために装置全体をアクリル板で覆い、装置の安定性について評価を行った。デュワーに液体窒素注入後から数日にわたり計測できることが可能となり、測定が特に安定して実現できる時間範囲を捉えることができた。 さらに新たに参照光と試料透過光をリニアアレイにより同時に計測可能なマイクロ流路を導入したマイクロ・リアクタを新たに設計・製作した。これにより、赤外線光源、光路長、検出器感度等のドリフトに対して安定した計測を実現できることが分かった。その一方で、光触媒反応その場観察を実現するために、紫外線LEDを組込んだ分光セルを新たに設計・製作し、制御用の安定電流回路も自作し、その特性を評価した。 上記の装置改良と平行して、本研究で観察対象としている反応に関わる二酸化炭素、ATP等の水溶液中透過赤外吸光度測定の予備実験を行った。また、対象とする細胞の細胞周期の培地温度依存性についても予備実験を行った。 又、水の赤外吸収スペクトルの第一原理計算を行い、実測データを再現することができた。これを論文としてまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定した通りに装置を改良することができ、これを用いた予備実験も実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
細胞観察用及び水中化学反応観察用それぞれに適したマイクロリアクターのパターンを設計・試作し、平成29年度に立ち上げた逐次赤外分光顕微鏡に設置し、分光計測を行い、パターン及び行路長の最適化を行う。対象としては引き続き、細胞、葉緑体、光触媒、金属の水熱反応とする。そのための乳酸、ATP、リン酸、クエン酸、グルコース等の水溶液のIRスペクトルの定量測定を実施する。 その後、システムとしての特性を把握したうえで、細胞周期に亘る細胞の代謝計測、葉緑体の光合成条件制御による反応計測、生体エネルギー代謝反応、水分解光触媒反応その場計測、水中脱合金反応その場計測と多孔体膜形成条件等のテーマへの展開を計る。
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