研究課題
コレステリック液晶などのキラル液晶が自己組織的に形成する螺旋構造の方位をパターンニングすることにより、平面からの反射にもかかわらず反射光の波面を任意に制御可能で、集光、偏向、拡散、光渦発生などの機能を持った反射型Flat opticsの開発を目的として研究を実施した。光配向膜上に直線偏光の方向が微小領域ごとに異なる光を照射することにより、セル内の局所的な領域で液晶の配向方向を制御したパターン配向素子が作製でき、いわゆるベリー(幾何学的)位相を制御した光学素子が実現できる。本年度は、一次元螺旋周期構造を形成するコレステリック液晶を自己組織化ブラッグ反射鏡にとして採用し、ベリー相に基づいた可視光域で完全に透明な反射型計算機生成ホログラムを実現した。ここで、コレステリック液晶を用いたブラッグ反射鏡が螺旋誘電テンソル分布を持つことから単一周期のフーリエ成分のみを持ち高次の反射が抑制されることに着目し、反射バンドを可視光波長範囲外に設定することにより完全透明素子を実現した。この素子は、読み出し光の入射角度を十分に大きく設定することにより、記録されたホログラム情報を可視光で読み出すことが可能となる。入射光を高角度で入射する具体的方法として、光導波路状にコレステリック体積ホログラムを積層してアウトカップラーとして用いることにより、提案したデバイスの動作を実証した。一次元周期配向制御と自発的螺旋周期構造との複合により形成される傾斜コレステリックブラッグ周期構造を活用した方位制御レーザー発振デバイスを実現した。蛍光色素を添加したコレステリック液晶は、螺旋軸(フィルム面に垂直)に沿ってレーザ発振が起こるのに対して、本提案素子では、螺旋軸から30度傾いた方向へのレーザー発振を確認した。さらに、温度によるレーザー発振方位の制御を実現し、発振方位制御可能な新規レーザーデバイスの可能性を示した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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