研究課題
本研究では、位相コヒーレンスなキラルソリトン格子の集団ダイナミクスにより内発的に生じる巨大スピン応答を検出し、キラル磁性応用の基盤学理を構築することを目指している。最終年度は、物性計測・物質合成・理論班が協同して、結晶キラリティ制御、精密輸送計測、高周波ダイナミクス計測、電子顕微鏡観察、理論模型構築など、多面的な研究を展開し、物質機能の開拓に注力した。キラル磁気秩序の安定制御と機能発現に寄与する数多くの重要な知見を得て、基盤学理の体系化を進めた。具体的には、磁気イメージングと高周波ダイナミクス計測を照合してキラルソリトン欠陥の生成過程と表面バリアの相関を解明し、キラル磁気秩序の安定制御を実現した。キラル磁性体が示す磁気共鳴特性を精査し、励起配置に強く依存した異方的な共鳴応答を見出した。また、共鳴スイッチングやキラルソリトン共鳴モードの切替えなど、高周波スピン応答の高度な制御法を確立した。有限閉じ込め系としての定式化を進め、非線形結合振動子における共鳴モード同定の手掛かりを得た。キラル磁性との強い結合が期待されるキラルプラズモン場の解析手法を開発し、キラル増強電場の生成過程を解明した。キラル磁性体との複合系においてキラル磁性の光制御の基礎データを得た。キラル磁性を舞台に光、弾性、プラズモン場などとの結合系を構築する展望が拓かれた。更に、キラル結晶がスピン偏極電流を生み出すことを見出した。このスピン応答は、磁気を不要とし、電気的に誘導・検出することができる。多様なキラル物質が示す普遍的な性質であり、従来の磁性研究の枠を超えて、キラル物質の意義を見出した。以上、キラルスピン応用の基盤学理を成す多くの重要な研究成果を得た。最終年度は研究プロジェクトと成果紹介等の啓蒙活動に尽力し、論文発表や学会発表を精力的に行った。昨年度に引き続いて招待講演の機会を多数いただいた。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 5件、 査読あり 9件) 学会発表 (49件) (うち国際学会 22件、 招待講演 17件) 備考 (1件) 産業財産権 (2件)
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