研究課題
1.希土類添加III族窒化物磁性半導体を再現性良く形成する上で,磁性元素である希土類(RE)イオンの空間分布解析と制御が不可欠である.RE元素としてGdとTbに焦点をあて, 2次元ならびに3次元規則分布型試料をプラズマ支援分子線エピタキシー法でGaN上に形成し,次の知見を得た.これらの結果は,磁性原子の空間分布と磁気特性との間に相関があり,磁気特性制御向上にその空間分布制御が重要であることを示唆している.(1)2次元規則分布型:GaN上GdNおよびTbNナノ薄膜の臨界膜厚は1~2MLsであることが明らかとなった.平均添加濃度4%のGaN(23ML)/TbN(1ML)超格子においても,ランダム分布型GaTbN(添加濃度10%)薄膜と同様な磁気特性が得られており,磁性元素の局所濃度制御可能なGaN/TbN超格子形成は磁気特性向上に有効であることを明らかとした.(2)3次元規則分布型: GaN層が10MLs程度以下である3次元規則分布型GaN/REN超格子では,2次元規則分布型よりもさらに磁気特性が向上することを明らかとした.これは,REN層間の交換相互作用も重要であることを示唆している.2.RE(TbおよびGd)添加GaN中の空孔型欠陥について陽電子消滅法などを用いて調べた.(1)REN/GaN積層構造試料から明確な空孔の導入は観測されなかった.陽電子はREN層近傍に局在化することが計算から示され,RE原子が陽電子消滅特性に与える影響を考慮する必要性が明らかになった.(2)RE注入GaNを1000℃までアニールし,照射欠陥の回復挙動を遷移金属元素であるCr注入GaNのそれと比較した.Cr注入GaNとは異なり,RE注入GaNでは照射欠陥の凝集・成長がみられた.(3)Gd原子近傍への空孔導入はGd添加GaNのc軸膨張の抑制にはほとんど寄与しないことが第一原理計算により示された.
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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