研究課題
独自に開発してきたキャリア輸送理論を用いて次世代電子デバイスとして期待される有機半導体の高性能化のための設計指針作成を行うことを目的としている。この手法は一億規模の原子・分子系に対し、量子論に基づき原子スケールから第一原理に基づき伝導特性を明らかにできる計算理論である。これを基礎として、構造が柔軟・フレキシブルで環境に優しい高性能有機単結晶薄膜トランジスタの伝導特性の解析予測を行い、実験研究者のデバイス作成評価と比較検討を行うとともに、究極の高移動度キャリア伝導を実現するための材料・デバイス設計を行う。筑波大学計算科学研究センターや東京大学物性研究所の共同利用施設のスーパーコンピュータにより、キャリア輸送特性解析の数値計算プログラム群を実行し、有機半導体の輸送特性を解析した。この数値計算プログラムは計算時間およびメモリー容量が原子数Nに比例するオーダーN法になっていると同時にMPIにより高い並列性能を示している。電子格子相互作用を高精度に解析し取り入れることにより輸送特性を定量的に評価することができる。この手法を用いてペンタセン、ルブレン、ナフタレン、ベンゾチオノベンゾチオノフェン、ジナフトチオノチオフェン、ジナフトベンゾジチオノフェンなどの代表的な有機半導体の輸送特性の解析を行い、実験値との比較を行うとともに、従来型の輸送理論解析手法では困難であった高精度な予測がこの方法により可能になることを実証し、論文等にて公表した。
2: おおむね順調に進展している
大学共同利用スーパーコンピュータでの数値計算、有機半導体の輸送特性解析と実験との詳細な比較など当初の計画通り順調に進展している。
さまざまな有機半導体の輸送特性解析予測の実証を推進し、高性能有機半導体の理論設計のための研究を継続する。
すべて 2019 2018 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 4件) 図書 (1件) 備考 (1件)
Jpn. J. Appl. Phys.
巻: 57 ページ: 08NA01
10.7567/JJAP.57.08NA01
Phys. Rev. B
巻: 98 ページ: 235422
10.1103/PhysRevB.98.235422
J. Am. Chem. Soc.
巻: 140 ページ: 14046
10.1021/jacs.8b08811.
J. Phys. Soc. Jpn.
巻: 87 ページ: 61013
10.7566/JPSJ.87.061013
ACS Appl. Mater. Interfaces
巻: 10 ページ: 26434
10.1021/acsami.8b06211
www.bk.tsukuba.ac.jp/~cmslab/