研究課題
有機半導体は、近年単結晶化と様々な新規分子合成による伝導機能の性能向上が著しく、塗布型プロセス製造法の発展とともに、次世代電子デバイス材料として強く期待されている。この有機半導体のさらなる伝導特性の性能向上にはキャリア輸送理論に基づく有機半導体設計のための方法論の構築が求められている。第一原理電気伝導計算プログラムSAKEを開発し、有機材料の電子状態・電気伝導特性解析の方法論の整備を行い、分子内電流とその構造依存性を明らかした。また、有機半導体の価電子帯における分子軌道混成効果を解析し、最高被占軌道(HOMO)と第2最高被占軌道(SHOMO)の混成効果を解析的に表現するとともに、典型的な有機半導体材料のSHOMOの効果を明らかにした。BTBT 系材料ではHOMOとSHOMOのエネルギー準位差が400meVより大きいにもかかわらず、SHOMOが顕著に価電子帯構造に影響する事がわかった。これはヘリングボーン面を構成する分子のHOMO-SHOMO 間飛び移り積分の符号と大きさによるものであることを明らかにし、SHOMOを用いた高移動度化の設計指針を作成した。さらに、分子の化学構造式から結晶構造予測を行い、電子状態計算、電子格子相互作用解析、時間依存波束拡散伝導法による有機半導体の移動度予測によって、分子構造式から性能予測を行い、キャリア輸送理論に基づく高移動度有機半導体設計を実証した。これにより、有機半導体の材料開発を効率化することができ、新規材料開発の加速化が期待される。
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