研究課題
LiCoO2正極/LASGTP固体電解質/その場形成負極の電池系において,透過型電子顕微鏡内で充放電させ,正極/固体電解質界面近傍のオペランド電子線ホログラフィー計測を行った.その結果,界面から固体電解質方向に150~250 nmにわたって,電位の低い領域を観察することができた.また,電池特性の悪い試料やサイクルによって劣化した試料についても計測を行った結果,電位の値は,より小さくなることがわかった.充電することによってLiCoO2正極からLiが脱離することになるが,固体電解質界面ではLiイオンが欠乏している状態を観察していると考えられる.電子エネルギー損失分光法(EELS)でも観察を試みたが検出限界以下であった.超高感度の検出器と高度な画像解析技術が必須である.最近掲載されたTsuchiyaらの論文(Adv. Mater. Interfaces 2019, 1900100)では,重イオンビームを用いたLi分布計測を行っており,同じ電池系において我々の計測を支持した結果を得ている.Liイオン分布や電位分布のより高速な計測を目的に,高度画像解析技術の一つであるスパースコーディングをオペランドSTEM-EELSに適用した.その結果,従来より10倍程度高速なLiイオン分布を2次元で捉えることに成功した.Liイオンは,膜の垂直方向だけでなく,水平方向にも移動していることが明らかになった.充放電の途中だけでなく,開回路の途中でも,Liイオンは正極内で移動していることもわかった.この結果は,Nature Communicationsにacceptされた.また,オペランドSTEM-EELSを硫化物系の固体電解質を用いたバルク型全固体電池にも適用した.正極粒子内の界面でLiイオンの移動が遅れていることが,視覚的に画像化することに成功した.この結果は,現在,論文審査中である.
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nature Communications
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Microscopy
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doi: 10.1093/jmicro/dfz037
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https://www.jfcc.or.jp/develop/nano-gr1.html