研究課題/領域番号 |
17H02793
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
橋本 守 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (70237949)
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研究分担者 |
高松 哲郎 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40154900)
加藤 祐次 北海道大学, 情報科学研究科, 助教 (50261582)
三宅 淳 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (70344174)
新岡 宏彦 大阪大学, データビリティフロンティア機構, 特任准教授(常勤) (70552074)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 非線形ラマン散乱 |
研究実績の概要 |
人工知能を用いた次々世代の病理診断およびスクリーニング技術を確立することを目的として,ハイパースペクトル非線形ラマン散乱イメージを人工知能解析する手法の開発を行っている. 同期型波長可変ピコ秒レーザーの移設・再設置,同期システムの再設置,顕微鏡システムの再構築を行い,ハイパースペクトル誘導ラマン散乱イメージングを行うことが可能であることを確かめた.光パルスの強度相関信号から時間差を出力するBCC(balanced cross-correlator)は,2光子検出器(バンドギャップの大きいフォトダイオードを利用して2光子吸収のみで信号を出力)で強度相互相関信号を得ているために,これから出力される2パルスの時間差信号は入射する光強度に依存する.波長によって出力される光パルスの強度が変化するが,これは同期システムのフィードバック系のゲインが変化することに相当する.波長走査しても,安定して同期させるために,波長走査レーザーのパワーをモニターし,ゲイン可変アンプをDSPで制御することにより,波長によるフィードバックゲインの変化をなくす.これにより,波長走査時の同期の安定化を行った. また,人工知能の強化学習には大量の教師データを用いることが望ましい.人手による教師データの作成は,コストの高いものとなり,また正確である保証がない.そこで,染色像から教師データを作成して人工知能を学習させ,無染色像から得た非線形ラマン像を分別することを考えた.現在,染色像の教師データの取得と,非線形ラマン散乱信号の取得を平行して行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者は,2016年10月に大阪大学から北海道大学へ異動し,それに伴い2016年12月に実験装置(レーザー光源等)も移設した.本研究で使用を予定していた,同期型波長可変ピコ秒レーザーは,市販のレーザーに手を加えていたため移設を請け負って頂けずレーザー自身の調整を自ら行わなければならなかった.また,移設では全ての光学部品を一度光学定盤から外し,再度全ての光学部品を調整しながら設置せねばならず,これらの作業を経験のない学部学生と共に行う必要があり,時間を費やした.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに,非線形ラマン散乱を用いた内視鏡による神経の可視化も行ってきた,まずは顕微鏡観察による神経の分別を行い,次に内視鏡による分別を行う.透過像や反射像に比べ,非線形ラマン散乱による分別が有効かどうか検証する.また,ヒト病理切片のハイパースペクトル非線形ラマン散乱画像を観測し,このデータを用いた人工知能による解析へと進めていく.この際には,HE染色画像や免疫染色などを用いて病理医が判別したデータを教師データとして人工知能を学習させ,ハイパースペクトル非線形ラマン散乱像からの識別を行う.
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