研究課題/領域番号 |
17H02794
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
花田 修賢 弘前大学, 理工学研究科, 教授 (20435671)
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研究分担者 |
山田 勝也 弘前大学, 医学研究科, 准教授 (40241666)
澤田 英夫 弘前大学, 理工学研究科, 教授 (50259909)
武安 伸幸 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (90373323)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 低屈折率フッ素ポリマー / フェムト秒レーザー / 波面制御 / ナノファイバー / 濡れ性 |
研究実績の概要 |
本年度は、波面制御したフェムト秒レーザーおよび汎用ナノ秒レーザーを用いたCYTOP製ナノファイバー加工の基本特性について調査を行い、細胞集塊の培養応用を目的として、堆積したナノファイバーの濡れ性評価を行った。その結果、波面制御したフェムト秒レーザーをCYTOP基板上に集光照射することで作製したナノファイバーは、汎用ナノ秒レーザーや単一フェムト秒レーザー照射に比べ高分解能であることを確認した。また、ファイバーをCYTOP基板上に堆積した際の濡れ性評価については、実験条件を最適化し、ファイバー堆積することで、その表面が超撥水になることを確認した。これらの結果については、学会発表にて成果を報告している。
CYTOPをベースとした新規材料開発については、表面プラズモンを利用したCYTOPの化学変化を試みた。溶剤に溶けたCYTOP溶液を、銀ナノ粒子2次元アレイ上に滴下し、波長532 nmのレーザーを照射し、表面増強ラマンスペクトルを計測した。その結果、CYTOPの通常ラマンスペクトルとは異なるラマンスペクトルが得られた。この結果から、表面プラズモンを利用することで、CYTOPが化学変化を起こすことが分かった。本成果については、学会発表にて報告を行っている。
更に、本研究を行う過程で、CYTOPを含めた熱硬化性材料の新しいレーザー加工方法についても検討を行っており、その加工技術の確立を行うと共に本研究課題への応用を試みている。本成果についても、学会発表にて、その成果を報告している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は、当初より予定していた空間光位相変調器を用いた多点同時フェムト秒レーザー照射によるナノファイバー加工の基本特性について検討を行い、本技術を用いることにより、従来レーザー加工に比べ高分解能なナノファイバーを作製することに成功した。また、堆積したファイバーの濡れ性評価では、その表面が超撥水になることから、今後予定している細胞集塊の培養応用が可能であることを示唆した結果となった。 新規材料開発については、表面プラズモン現象を利用することでCYTOPの化学変化を確認しており、材料開発および微細加工の観点から検討を行う予定である。 よって、これらの結果から、フッ素樹脂CYTOPの「加工」及び「材料開発」について、当初より予定していた研究計画通り、研究が進展してる。 更に、本研究を遂行するにあたり、CYTOPを含めた熱硬化性樹脂の新規レーザー加工技術開発についても現在、検討を行っており、当初の計画以上にCYTOPの加工技術開発について進展があった。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度では、波面制御したフェムト秒レーザーによるナノファイバー加工のメカニズム解明、先行研究で作製したCYTOPバイオチップ内部へのナノファイバー集積化およびバイオチップ内での細胞集塊培養について検討を行う。 加工メカニズムの解明については、昨年度に引き続き、汎用ナノ秒レーザーなど各種レーザー加工により作製されるナノファイバーと波面制御したフェムト秒レーザー加工により得られるナノファイバーの比較検討を行う(その過程で、その他3次元構造体作製についても検討する。)。 また、ナノファイバーを集積したバイオチップ内部での細胞集塊培養については、昨年度得られた濡れ性評価をもとに、チップ内における選択的ナノファイバー堆積を試み、バイオチップ内に超撥水性領域を作製する。新規材料開発については、昨年度に引き続き、表面プラズモン現象を利用した材料開発および当初より予定していた研究計画には無かったが、回折限界を超える超微細加工技術開発についても検討を行う予定である。
更に、本年度得られたCYTOPの新規レーザー加工技術開発についても検討を行い、CYTOPを含めた難加工材料であるフッ素樹脂のレーザー加工技術基盤を形成する。
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