昨年度に設計・製作した多段の差動排気を備えたは高次高調波発生ビームライン、赤外励起パルスと真空紫外プローブパルスの光学遅延回路および集光光学系を含めた真空チャンバー、液膜発生ユニット収納する真空チャンバーを接続し、最終的な光学素子の詳細な配置を決定し、装置の最終形態が確定した。 チタンサファイアレーザーのパルス圧縮器や増幅器を空気の揺らぎから防護するためのカバーの設置、ポインティングフィードバック機構の導入などにより、レーザー出力の安定性が大幅に向上し、昨年度から進めてきた中空ファイバーとチャープミラーを用いた赤外レーザーパルスの 10 フェムト秒へのパルス圧縮が長時間安定に持続するようになった。 この 10 フェムト秒パルスを、水液膜ジェット上に集光照射し、生成したプラズマを 5ミクロン厚の BBO 結晶によって発生させた 2 倍波 (400 nm) でプローブし、時間分解反射スペクトルの測定に成功した。また、透過光についても、反射光を測定しているイメージング型分光器の入射スリット上で重ならないように導き、反射と透過を同時測定できるシステムを構築し、測定に成功した。 最終年度の本年度は、これまでの研究期間を通じての成果を論文にまとめた。石英上のプラズマミラーを用いた真空紫外パルスの時間分解反射分光を測定し、周波数分解光ゲート法の解析によって 20 フェムト秒のパルス幅をもつ波形を抽出し、プラズマの空間モードも合わせて観測した成果と、水の液膜ジェット上に生成したレーザープラズマを使った紫外パルスの波形計測を実証すると同時に、プラズマ生成の考察を行った成果を 2 編の原著論文として、それぞれ Optics Letters 誌に受理され、出版された。また、一連の成果をまとめた解説論文をプラズマ・核融合学会誌に発表した。
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