研究課題/領域番号 |
17H02803
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研究機関 | 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所 |
研究代表者 |
石澤 淳 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子光物性研究部, 主任研究員 (30393797)
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研究分担者 |
西川 正 東京電機大学, 工学部, 教授 (20374069)
日達 研一 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子光物性研究部, 主任研究員 (60564276)
小栗 克弥 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子光物性研究部, 主幹研究員 (10374068)
増子 拓紀 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子光物性研究部, 主任研究員 (60649664)
赤塚 友哉 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子光物性研究部, 主任研究員 (90548257)
今井 弘光 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子光物性研究部, 研究員 (00649551)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 光周波数コム / 電気光学変調 / スーパーコンティニューム光 / 自己参照干渉法 / キャリアエンベロープオフセット / 位相雑音 |
研究実績の概要 |
当該年度は以下のの3課題に取組んだ。 ①CEO信号にはマイクロ・ミリ波発生装置の位相雑音情報が含まれるため、高感度に検出することにより、従来よりも低雑音なマイクロ・ミリ波を発生できる。そこで、光周波数コムのASE雑音を除去するため、2台のファブリーペロー共振器を直列接続し、CEO信号の信号対雑音比(SNR)を高めることに成功した。その結果、高SNRのCEO信号を用いて、信号発生器へ参照RF信号を基準としてフィードバック制御することで市販の位相雑音測定器で検出限界以下の極低雑音な25GHzマイクロ波発生を実現した。本結果を国内外の会議で招待講演を行った。 ②フリーランニングCW半導体レーザー(中心波長1542 nm、線幅2 kHz)を種光源にし、信号発生器から出力される25 GHz正弦波で駆動した位相・強度変調器で38 nmのスペクトル幅を持つ平坦な25 GHzモード間隔の光コムを発生させた。その後、フィルターキャビティを用いてASE成分を除去した後、光ゲート(パルスピッカー)により、繰返し周波数を1 GHzまで低減した。光増幅器で1 Wまで光出力を高め、ガラスブロックで分散補償することで短パルス化する。その短光パルスをフォトニック結晶ファイバーへ結合し、2/3オクターブ帯域以上のSC光を発生させ、2f-3f自己参照干渉法によりCEO信号の検出し、フィードバック制御により周波数安定化に成功した。短期安定性はファイバーレーザーと同程度に高安定であることが分かった。その結果をCLEO2018会議の口頭発表した。 ③従来、光周波数コム安定化には信号発生器の基準が必要であり、最終的な安定度の限界はこの信号発生器の精度であった。今回、全光基準光コム安定化の手法を提案し、実証した。本成果をCLEO-PR2018会議で口頭発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の最大目標である、光周波数コムのCEO信号の高SNR検出に成功し、そのCEO信号を用いて、位相変調器を駆動する信号発生器へRF参照信号を基準にフィードバック制御することで、市販の信号発生器よりも大幅な雑音低減することに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、電気光学変調コムを用いて市販の信号発生器からの極低雑音なマイクロ波・ミリ波発生を実測することに挑戦する。我々が開発している電気光学変調コムは、一般的なモード同期レーザーベース光周波数コムとは異なり、中心波長から離れるに従って、雑音が拡大され、スペクトル幅が太くなるという問題点があった。我々は、雑音拡大に伴ってスペクトル幅が太くなる、電気光学変調コムの問題点を利用して、高感度な「雑音検出器」として用いることで、従来よりも低雑音な周波数可変マイクロ波・ミリ波を発生させる。また、これまで以上に研究分担者と研究交流を密にしていくことで、研究推進力を加速する。
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