研究課題/領域番号 |
17H02819
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
平田 浩一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 上級主任研究員 (80357855)
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研究分担者 |
山田 圭介 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 放射線高度利用施設部, 研究員(定常) (10414567)
笹 公和 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (20312796)
冨田 成夫 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (30375406)
斎藤 勇一 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 放射線高度利用施設部, 課長(定常) (40360424)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 量子ビーム / 2次イオン |
研究実績の概要 |
高エネルギーに加速したクラスターイオンを1次イオンとして用いた2次イオン質量分析法(高速クラスター2次イオン質量分析法)による高感度顕微質量分析を実現するための高速クラスターイオン照射に関して、以下の研究を行った。 パルス1次イオンビームを用いてTOF質量分析を行う際の質量分解能を向上させるために、高速クラスターイオンビームの短パルス化技術を開発した。高電圧制御波を電極に印加してビーム偏向させることでパルスイオンビームを生成するチョッピング装置と飛行時間型パルス幅評価装置の開発と作製を行い、量子科学技術研究開発機構高崎量子応用研究所において、高速C60イオンビームのパルス化実験を行った結果、sub-MeV級C60ビームでパルス幅10ns台を、MeV級C60ビームでは10ns以下を達成した。また、ビーム制御系開発と制御法最適化を行うための基礎データ収集用ビーム強度変動計測システムを構築し、連続的にビーム強度変動をモニタリングすることが可能となった。微小領域の分析を行うためには1次ビームの集束が必要であるため、高速クラスターイオンを微小領域へ照射するためにイオンビームを集束させる静電四重極レンズ系の計算と最適電源系の検討等の基本設計を行った。さらに、最適照射条件の探索と2次イオン放出現象を解明するための1次イオン入射角度可変型TOF質量分析システムの開発・作製を行い、MeV級C60イオンビームを用いて入射角度を変えながら2次イオンスペクトルを採取し、動作確認等を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の各研究項目の進捗は、1.(短パルス化技術の開発)高速クラスターイオンビームのチョッピング装置とパルス幅評価装置を作製し、MeV級高速C60イオンビームではパルス幅10ns以下を達成、2.(微小領域照射技術の開発)高速クラスターイオンビームを集束させる静電四重極レンズ系の計算と最適電源系の検討等の基本設計の完了、3.(最適照射条件の探索と2次イオン放出現象の解明)1次イオン入射角度可変型TOF質量分析システムの開発・作製、及び、MeV級C60イオンビームを用いて同分析システムでの2次イオンスペクトル採取と動作確認の実施、4.(ビーム制御の最適化)連続的にビーム強度変動をモニタリングするビーム強度変動計測システムの構築、であり、平成29年度の研究実施計画をほぼ達成した。以上のことから、おおむね順調に進捗しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度の各研究項目での研究推進方策は、以下の通りである。 1.(短パルス化技術の開発)短パルス高速クラスターイオンビームを安定的に供給するために、昨年度製作したイオンビームチョッピング装置の電極形状と配置、及び、電極に印加する高電圧制御波の最適化を進める。 2.(微小領域照射技術の開発)ビーム集束を行う静電四重極レンズ系の詳細設計と作製、及び、特定位置照射システムの開発を行う。 3.(最適照射条件の探索と2次イオン放出現象の解明)昨年度開発した1次イオン入射角度可変型2次イオン質量分析装置等を用いて、2次イオンスペクトルの1次イオン入射角度依存性をはじめとする各種条件での2次イオンスペクトルの採取とそのデータベース化を進めるとともに、最適照射条件と2次イオン放出現象の解明を進める。 4.(ビーム制御の最適化)昨年度に引き続き、ビーム強度の安定化を行うための制御システムの構築を進めるとともに、ビームライン中で解離したクラスターが2次イオン分析に与える影響を抑制するビーム制御法を検討する。
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