研究課題/領域番号 |
17H02830
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
石原 大輔 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (80363399)
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研究分担者 |
村上 直 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 助教 (90443499)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | マルチフィジクス / 昆虫羽ばたき飛行 / 強連成解析 / MEMS / 昆虫規範 |
研究実績の概要 |
昆虫飛行はマルチフィジクス強連成を巧みに利用して,1mmスケールの微小化を達成している.ゆえに昆虫飛行を規範とすることにより,超小型飛行体の実現が期待されている.しかし,マルチフィジクス強連成の複雑さと加工技術の制限から,1mmスケールの微小化は実現されていない.そこで本研究では,マルチフィジクス強連成解法を開発し,それを用いて,MEMS(Micro Electro-Mechanical System)の2.5次元構造がマルチフィジクス強連成に基づく昆虫飛行機能を持つように設計し,それを実際にMEMSプロセス(リソグラフィとエッチングによる微細加工)で作成することにより,1mmスケールの昆虫規範型MEMS飛行体を実現する. 本年度においては,階層的分解アプローチにより,昆虫規範型MEMS飛行体の設計に必要な構造-流体-電界強連成解法を開発した:(1)階層的分解アプローチに従い,構造-流体-電界強連成現象を系統的に計算単位まで分解し,適材適所にブロックガウスザイデル法やプロジェクション解法といった連成アルゴリズムを適用した.(2)計算力学的資源を再利用して,(1)をプログラム化した.(3)計算の大規模化のために,構造計算部分を新たに並列化することで,プロジェクション解法の完全並列化を行った.(4)本強連成解析プログラムを検証するために,代表的な流体構造連成のベンチマーク問題のひとつである流路中に設置された柔軟弁を流体構造電界連成問題に拡張して適用し,妥当な解析結果を得た.さらに次年度行う予定であった以下の研究実績も得た:(5)マイクロトランスミッションの3次元有限要素モデルを作成し,応力解析に基づく寸法最適化を行い,さらにその試作も行った.(6)(5)に基づき,ポリマーマイクロマシニングのためのマスク設計法につながる指針を明らかにすることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実績の概要に示すように,当初の計画をおおむね順調に達成して,(1)~(4)の研究実績をあげることができ,さらに次年度以降の計画に含まれていた(5)と(6)の研究実績をあげることができたから.
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今後の研究の推進方策 |
本研究では,1.階層的分解アプローチに基づく強連成解法を開発し,2.昆虫規範型MEMS 飛行体の強連成解析を行い,その詳細設計を行い,3.MEMSプロセスを開発し,それを用いて,昆虫規範型MEMS 飛行体を作成し,4.昆虫規範型MEMS飛行体の性能評価を行う.当初の計画以上に進展しているので,この流れを早めるとともに,各項目の質と量を増やして,その研究規模を拡大する.
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