概均質ベクトル空間のゼータ関数を解析的整数論に応用する方法について、様々な研究を行った。3次体の判別式を数える関数について、誤差項の評価を改良できることが分かっていたが、これについて詳しく検討し、満足できる形の理解を得た。その一部は、David Lowry-Duda氏(ウォーリック数学研究所)と Frank Thorne氏(南カロライナ大)との共同研究で「Landauの定理の一様版」として一般論としてまとめ、これを適用して必要な計算を行う形となった。 Manjul Bhargava 氏(プリンストン大)、Frank Thorne氏との共同研究で、誤差項のオーダーをX^(2/3) (log X)^(3/2) とすることができた。また、局所条件をつけた場合の一様性についても、よい評価を得ることができた。この成果については、さまざまな応用が見込まれる。これらについて現在、論文を執筆中である。代数体上の相対3次拡大の場合に一般化する研究も進めている。この場合の空間は2元3次形式の空間だが、他の空間に伴うゼータ関数も、同様の見地から研究を行い、一定の進展を見た。
2018年6月7日~9日に研究集会「Kobe Number Theory Workshop 2017」を開催し、数論的不変式論について情報収集を行うと共に、参加者と研究討論を行った。古典的な不変式論も、整数論的な見地からはまたまだ研究する余地があることが分かった。現在、2変数4次形式の空間について、石塚裕大氏(京都大)、Frank Thorne 氏、Stanley Xiao 氏(オックスフォード大)と共同研究を行っている。
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