研究実績の概要 |
代表者の小林真一は, 一般Heegner cycleに関する反円分拡大の岩澤理論に関する論文2篇の改訂を行った。これは保型形式の特殊値を反円分Hecke指標で捻ったモチーフに関するBloch-Beilinson-Kato予想の例を与えるものである. 論文のうち、岩澤健吉記念集に投稿した論文は, 複数回の改訂作業の結果, 無事受理された. 本年度はカリフォルニア工科大学のA.Burungale氏と, 虚数乗法をもつ楕円曲線のinertやramifiedな素数における岩澤理論に関する共同研究を始めた. この研究はBirch and Swinnerton-Dyer予想に応用をもっている. 分担者の千田雅隆は台湾の中央研究院のMing-Lun Hsieh氏と共同で総実代数体上の志村曲線上の一般化Heegnerサイクルと反円分的p進L関数の研究を行い, いくつかの条件の下でBertolini-Darmmon-Prasannaによる公式を総実代数体上に一般化した. 分担者の大坪紀之はBruno Kahn氏との共同研究において、虚数乗法を持つアーベル型のモチーフ(絶対ホッジサイクルを用いて定義されるもの)に付随する周期などの不変量に関する研究を進めた。モチーフに付随するヘッケ指標を、アーベル型とは限らない(代数的サイクルで定義される)モチーフにも拡張した。また、そのようなモチーフのp進周期を、p進ホッジ理論を用いて定義されるp進ベータ関数を用いて記述した。分担者の落合理は, GSp(4)の保型表現のEuler系, GL(2)のColeman変形族の場合のp進L関数やEuler系, CM体における非可換岩澤理論, 非可換岩澤理論のSelmer群の関数等式などの研究を進め, 非可換拡大のSelmer群の関数等式については論文を完成させて投稿にこぎつけることができた.
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