研究課題/領域番号 |
17H02836
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小林 真一 九州大学, 数理学研究院, 教授 (80362226)
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研究分担者 |
千田 雅隆 東京電機大学, 未来科学部, 准教授 (00451518)
大坪 紀之 千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (60332566)
落合 理 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (90372606)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 岩澤理論 / p進L関数 / Selmer群 / 整数論 / L-関数 / 代数的サイクル |
研究実績の概要 |
Beilinson-Bloch-Kato予想(BBK予想)というL関数の特殊と数論的不変量を結びつける整数論の大予想の例を与える研究を行った. クレイ研究所のミレニアム問題になっているBirch and Swinnerton-Dyer予想(BSD予想)もこのBBK予想のほんの一例にすぎず, BBK予想に関しては, 新しい例を一つでも示すことができれば大きな進歩とみなされる. 岩澤理論はこの問題にアプローチするための強力なp進的手法で, とくにBBK予想と結びつく岩澤主予想が中心的課題となっている. 今年度は具体的には次のような成果を得た. 昨年度からカリフォルニア工科大学のAshay Burungale氏と大阪大学の太田和椎氏とinertな場合のCM楕円曲線の反円分岩澤理論の共同研究を始めたが, 30年以上未解決だったK. Rubinの予想を解決した. またこの結果をまとめ論文にし投稿した. これによりこの設定におけるセルマー群とp進L関数を結びつける岩澤主予想が完成した. またこの設定におけるp進L-関数の特殊値と楕円曲線の有理点を結びつけるp進BSD予想の特別な場合も証明した. これも30年以上前に問題提起されていたものだったが, Rubin予想が解決したことで, 定式化および証明することができた.またこの共同研究と関連して, 虚二次体の反円分Hecke指標に付随するHecke L-関数の特殊値のp進付値をinertな場合に決定する研究を行った. またTate-Shfarevich群のinertな素点での反円分方向での挙動の研究も行った. これらの結果の一部を国際研究集会で発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
30年以上未解決だったK. Rubinの予想を解決できた. この予想は歴史ある虚数乗法をもつ楕円曲線の岩澤理論の基本問題でありながら, 2003年頃の代表者らの研究で少し進展したものの, その後は完全に停滞していた. 代表者も定期的に考えては諦め, 考えては諦めという状態であったが, ついに解決に至った.
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今後の研究の推進方策 |
カリフォルニア工科大学のAshay Burungale氏と大阪大学の太田和椎氏との共同研究が非常に実りあるもので, 大変よい流れに乗っている. この流れを保ちつつ, さらなる発展を促すため, オンラインディスカッションや可能であれば出張や招聘を積極的に行っていく.
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