研究実績の概要 |
本研究課題においては, Beilinson-Bloch-Kato予想(BBK予想)というL関数の特殊値と数論的不変量を結びつける整数論の予想の例を与える研究を行っている. クレイ研究所のミレニアム問題になっているBirch and Swinnerton-Dyer予想(BSD予想)もこのBBK予想のほんの一例にすぎず, BBK予想に関しては, 新しい例を一つでも示すことができれば大きな進歩とみなされる. 岩澤理論はこの問題にアプローチするための強力なp進的手法で, とくにBBK予想と結びつく岩澤主予想が中心的課題となっている. 今年度は昨年度からに引き続き, テキサス大学オースティン校のAshay Burungale氏と大阪大学の太田和椎氏と共同研究を行なった. 昨年度は惰性的な素数に関するCM楕円曲線の反円分岩澤理論のRubinの予想を解決した. 今年度はその続きとして, L-関数の特殊値が消えているときに, Rubinのp進L-関数のs=1での特殊値と楕円曲線の有理点を結びつけるPerrin-RiouやBertolini-Darmon-Prasanna型の特殊値公式を証明し論文にまとめた. そしてその論文が最近, Journal of the Institute of Mathematics of Jussieuに受理された. また以前から一般Heegnerサイクルとintegral Perrin-Riou twistの研究をしていたが, その研究をまとめた論文が, Perrin-Riou記念雑誌に受理された. またやはり昨年度に引き続き, 上と同じ設定において, Tate-Shafarevich群のp-partの漸近位数を記述する岩澤公式の研究を行なった. これらの結果を国内外のセミナーや研究集会において発表した.
|