研究課題/領域番号 |
17H02838
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大本 亨 北海道大学, 理学研究院, 教授 (20264400)
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研究分担者 |
成瀬 弘 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (20172596)
諏訪 立雄 北海道大学, 理学研究院, 名誉教授 (40109418)
池田 岳 岡山理科大学, 理学部, 教授 (40309539)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | トム多項式 / 多重特異点 / 代数的コボルディズム / シューベルト・カルキュラス / 数え上げ幾何 / モティヴィック・チャーン類 |
研究実績の概要 |
2019年度は以下の課題について取り組んだ. 【1.数え上げ幾何の基礎付け】著名なヒルベルトの第15問題は,フルトン・マクファーソンによる代数幾何的交叉理論上で展開されたクライマンらの80年代の一連の仕事によって,コランク1(曲線的/curvilinear)の問題については概ね解決している.しかし一般の場合は,点配置のモデュライ空間の特異性から非常に難しく,クライマンの手法の一般化はまず不可能である.この問題は,長年未解決の「写像の多重特異点に関するトム多項式の存在定理」(カザリアン予想)に集約する.本研究はこの予想の解決を目指している.その証明の鍵となるヒルベルト・スキーム上での交叉理論と代数的コボルディズム上のコホモロジー作用素について研究を進めて道筋を付けた.また双変代数的コボルディズムについて,研究協力者の與倉教授と情報交換を行った. 【2.シューベルトカルキュラス】組合せ論とシューベルト幾何に関して,研究分担者の池田教授および成瀬教授とともに国際研究集会「New interactions between Geometry and Combinatorics」(阪市大,10月27~29日)を開催した.主に旗多様体におけるシューベルト・セルのモティビック・チャーン類に関する種々の深い研究成果に関して情報交換を行った.特にオコウンコフの安定エンベロープ理論と同変モティビック・チャーン類の関係などについて知見を深めた. 【3.その他】研究分担者の諏訪・北大名誉教授は,チェックドルボ―・コホモロジー(諏訪理論)の観点からホッジ理論について研究を進めた.研究協力者のトリエッリは,ジェノバ大学の計算代数グループ等と研究交流をさらに進展させた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
19年度でも学内業務が増加し,本課題の研究に費やす時間がかなり圧迫されている.加えて,年度末のコロナウイルス防疫などにも関係して,いくつかの海外研究者招へいの計画(リマーニら)を断念し,種々の研究集会への出張も取りやめた.想定ではもう少し研究を先に進めたいところであった.
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今後の研究の推進方策 |
コロナウイルス防疫が成功し状況が安定化するならば,当初19年度に招へいを予定していたリマーニ教授(ノースカロライナ大学チャペルヒル)を一ヶ月ほど日本に招へいし,楕円的シューベルトカルキュラスと同変モティヴィック・チャーン類に関する研究連絡を取りたい.20年夏に予定されていた著名な特異点論国際集会(サンパウロ大学サンカルロス校)は1年延期になったことから,21年夏の当該集会にて成果発表できるようにスピード感を持ちたい.
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