研究課題/領域番号 |
17H02839
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
山田 光太郎 東京工業大学, 理学院, 教授 (10221657)
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研究分担者 |
梅原 雅顕 東京工業大学, 情報理工学院, 教授 (90193945)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ローレンツ空間型 / 平均曲率一定鏡面 / 解析的延長 / 直線定理 |
研究実績の概要 |
3次元ローレンツ・ミンコフスキー空間のなめらかな曲面上の誘導計量が退化する点を光的点とよぶ.光的点は,誘導計量の表現行列の行列式の微分が消えないとき「非退化光的点」,そうでないとき「退化光的点」という.とくに非退化特異点を挟んで曲面の因果特性が空間的から時間的に変化する.平均曲率一定(実際にはもう少し弱い仮定で結論が得られる)曲面が退化光的点をもつ場合,光的点の集合はローレンツ・ミンコフスキー空間の光的線分となることをすでに示したが,この定理をローレンツ多様体の超曲面に一般化した(梅原雅顕と代表者).このことにより,3次元ド・ジッター空間の平均曲率 1 の曲面の解析的延長が,しばしば光的測地線を加えることによって得られることの根拠が与えられたことになる. 一方,3次元ローレンツ・ミンコフスキー空間の楕円面は光的点をもち,その点の近傍で平均曲率は非有界である.このようなローレンツ・ミンコフスキー空間の2次曲面は,ユークリッド空間の2次曲面と同様に双等温的であることがわかる.したがって,臍点を覗いた部分に対して,そのクリストッフェル変換と呼ばれる曲面が対応する.このような曲面の挙動を調べた.ユークリッド空間の場合はに(楕円面の極限としての)球面のクリストッフェル変換として1重周期的シャーク曲面とよばれる極小曲面が得られる.同様の現象がミンコフスキー空間の2次曲面に対しても起きることを示した(研究分担者・梅原雅顕,連携研究者・藤森祥一・國分雅敏,U. Hertrich-Jeromin).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
うまくいった直線定理の一般化が十分な形で完成し,出版できた.とくにド・ジッター空間の平均曲率1の曲面の解析的延長が直線であることの根拠を得た. ド・ジッター空間の平均曲率1の曲面のうち,解析的カテノイド,幾何学的カテノイドの解析的延長の具体的な記述を完成させた.一般論の整備のための準備が整ったと考えられる.さらに一般論の整備が最終段階に近づいている.
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今後の研究の推進方策 |
順調3次元ローレンツ・ミンコフスキー空間の零平均曲率曲面の幾何学を推進する.とくに,折り目特異点をもつ曲面の解析的延長の挙動とその双対の具体的な考察を行なう.また,零平均曲率グラフと2次元流体力学との関係(代表者,分担者,連携研究者らによって得られている)の応用を探る(代表者,分担者,連携研究者). 3次元ド・ジッター空間の平均曲率 1 の曲面の解析的延長を,解析的延長の一般論から考察する.(代表者,研究分担者,高麗大学・梁盛徳氏).
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