研究課題/領域番号 |
17H02841
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
加藤 毅 京都大学, 理学研究科, 教授 (20273427)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | ゲージ理論 / 非可換幾何学 / Bauer-Furuta理論 |
研究実績の概要 |
今年度は下記の研究を行った。まず、Yang-Mills理論におけるDonaldson理論で用いられる、ミュー写像と呼ばれる、ある種の指数族の写像に対して新しい構成を行った。もとの4次元多様体の基本群から構成されるMischenko束を係数とした非可換指数族をミュー写像に適用することで、Donaldson多項式を、基本群の巡回ホモロジーに値を持つものに拡張した。これは群がある種の良い性質を持つ場合には群ホモロジーと同型に成ることが知られている。基本群が可換の場合に、この拡張した不変量から微分トポロジーに関する非自明な結果を導くことができたという点で、この拡張した不変量は非自明な情報を含んでいると言える。一方でその結果自身は、この不変量を用いなくても示すことができるため、今後の課題はモジュライ空間自体を非可換幾何学に取り入れた本格的な構成を行うことで、この不変量によってのみ得られる応用を目指すことにある。構造群が可換であるサイバーグ・ウィッテン理論の方が、モジュライ空間の非可換化に関しては、ある種の技術的な困難が少ないため、まずはそちらで行う。実際群作用素代数に係数を持つモジュライ空間の構成はすでに与えており、今後は、フレドホルム表現とのペアリングの構成が主題となる。次に、covering monopole 写像の構成に用いられた、モノポール写像度の構成を抽象化することで、より一般の非線形写像に対して、その同変写像度の構成を行った。またある種の具体例に対して、同変写像度の具体的な計算も行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度に構成を行った捻れDonaldson多項式は、ミュー写像の部分のみに非可換幾何学の手法を取り入れた。これだけでは十分ではなく、今後はモジュライ空間自体を非可換幾何学に取り入れた本格的な構成を行うことで、この不変量によってのみ得られる応用を目指すことにある。次に、covering monopole 写像の構成に用いられた、モノポール写像度の構成を抽象化することで、より一般の非線形写像に対して、その同変写像度の構成を行ったが、被覆モノポール写像度の具体的な計算が今後の課題となる。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究に現れる構成を引き続き継続して行う。
|