研究課題/領域番号 |
17H02843
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
大鹿 健一 学習院大学, 理学部, 教授 (70183225)
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研究分担者 |
作間 誠 大阪市立大学, 数学研究所, 特別研究員 (30178602)
宮地 秀樹 金沢大学, 数物科学系, 教授 (40385480)
山下 靖 奈良女子大学, 自然科学系, 教授 (70239987)
森藤 孝之 慶應義塾大学, 経済学部(日吉), 教授 (90334466)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 離散群 / 3次元多様体 / 双曲構造 |
研究実績の概要 |
本年度は以下のような研究を進めた. 大鹿はCyril Lecuireと共同の研究で,ThurstonがHaken多様体の一意化定理の証明の過程で主張し,その後証明がされないままでいたbounded image theoremについて,現代のKlein群の変形理論を用いた証明を与えることを試みた.特にskinning mapの像が変形空間でどのようになるかという問題について,幾何的極限を用いた分析を与えた.また馬場と共同で,Kleinian surface groupについてAhlfors-Bers写像から得られる,bending laminationへの写像が,実現可能な必要条件を満たすmeasured laminations全体の空間への写像度1の固有な写像を与えることを示した.これにより,Bonahon-Otalの定理の幾何的無限群への一般化を与えた. 作間は2橋結び目の可逆性を与える全ての対合に対して,その対合で不変なザイフェルト曲面の最小種数を決定した.森藤は,SL(2,C)の高次元既約表現に対するねじれアレキサンダー多項式を双曲錐多様体の観点から考察し,特異集合として現れる結び目の対称性を記述する関係式を導いた.特に特異集合がツイスト結び目と呼ばれる無限系列の場合に,それらがもろて型となる必要十分条件を与えた.宮地はタイヒミュラー空間の幾何学的構造の研究および複素解析的側面の研究を継続した.特に,大鹿,Papadopoulosとの共同研究を発展させ一般のタイヒミュラー空間のタイヒミュラー距離に関するFunk型の変形を考えた.また,Guangming HuとDon Tangと共同でGardiner-Masur境界の研究をした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の中で,海外の研究者との共同研究に遅れが生じた.zoomでの議論などの工夫をしているものの,やはり対面での議論でないと進まない研究が多く,この部分では計画より遅れを生じている.さらに企画していた国際研究集会も延期せざるを得なくなった.代わりにzoomによる集会を持ったものの,やはり講演の後の議論や個人的に行う会話から得られるべきものの部分が欠落してしまい,実際に対面で行う研究集会ほどの成果が得られたとは言い難い.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度が最終年度の研究課題であるが,2022年度に繰越が認められたため,2022年度にも研究の一部を継続することができる.この期間に,コロナ禍で遅れていた海外での共同研究を進め,遅れを取り戻したい.特にフランスにおける3次元双曲多様体の変形空間の共同研究,AdSの幾何学への3次元位相幾何学の応用の研究と,韓国における2次元双曲錐構造の変形空間の共同研究を進めたい.さらに今年度までに進めてきた研究でまだ論文が完成していないもの,特にCyril Lecuireとの共同研究について,論文を完成させ公表をする予定である. 2021年度には行えなかった対面での国際研究集会も,今年度は規模を縮小しながらも実行する計画をしている.
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