前年度までの研究で我々は、D'Agnolo-柏原や柏原-Schapira の理論を用いて正則ホロノミー D-加群のフーリエ変換の詳しい性質を解明した。 特にその特異集合を具体的に記述し、それに沿う不確定度を元の正則ホロノミー D-加群の特性多様体を用いて記述した。今年度はこの結果を改良し、不確定度だけでなく福原-Turrittin 分解にあらわれる指数因子まで完全に決定した。特に指数因子が特性多様体の Puiseux 級数展開により記述できることを発見した。さらにこの研究の副産物として、正則ホロノミー D-加群のフーリエ変換が Brylinski の意味でモノドロミック、つまり正則関数解の複体が錐的であることを示した。以上の結果は、約30年前の Brylinski らの結果を大きく拡張するものであり、さらなる発展が期待される。例えば合流型A-超幾何微分方程式は、ある正則ホロノミーD-加群のフーリエ変換であり、その正則関数解の漸近展開やモノドロミーの研究に大いに役立つものと考えられる。モノドロミー予想の研究においては、フランスとロシアの数学者との共同研究が完成し、論文を投稿した。この論文では非退化な複素超曲面の多くの場合に予想が証明できた。これまでの研究では、モノドロミー予想は代数曲線や特別な複素超曲面の場合にしか完全に証明されていなかった。我々の研究により(非退化という仮定はあるものの)高次元の多くの場合に予想が証明できたことは、非常に意義深いことであると考えている。
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