代表者が過去に発表した1次元力学系の中心極限定理から派生する局所極限定理と観測量の分解を「ひな形となる定理」と位置づけ、その拡張を6つの工程に分けて実施するという課題の最終年度研究である。令和元年度から2年度に研究計画の軌道修正を行い、令和3年度は令和2年度の継続分と並行して第3段階の完成を目指すこととなり、結果として第4段階から第6段階については繰り下げ実施となったため部分的結果にとどまっており、本研究課題終了後も別途継続実施の方向となった。最終年度令和3年度においても外的な要因もあって想定外に令和4年度に研究期間を継続することになったが、最重要課題の第3段階まではほぼ当初の目標を達成できたと思われる。得れれた成果については2022年11月開催の研究集会「Recent Progress in Ergodic Theory」(於:京都大学数理解析研究所)の連続講演"Transfer operators on expedient Banach algebras for piecewise expanding fibred systems I、II、III"において報告した。Iは転送作用素の擬コンパクト性、II はIの結果が応用可能な区分拡大的力学系の様々な例、IIIは中心極限定理(局所型を含む)とPoisson 法則への応用に関するもので本研究課題全般を網羅したものでそれぞれ論文として投稿準備中である。また、2022年9月京都大学で開催された研究集会「ランダム力学系・非自励力学系の展望:理論と応用」の招待講演で行った概説"Stochastic analogues of ergodic theory of differentiable dynamical systems and related topics"の中でも本研究に関連する成果の一部に触れた。
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