中西は、1次元のデルタポテンシャルと3次・5次の非線形項を持つ非線形 Schrodinger 方程式について、基底状態ソリトンの安定性を調べ、係数に応じて幾つかの場合に軌道安定性を示した。この系は、複数項の競合によりエネルギーと質量の最小化グラフが様々なパターンを持つにも拘らず具体的形状が分かる所が特徴で、多彩な大域ダイナミクスを調べるモデルとしての発展が期待できる。また、消散性非線形 Klein-Gordon 方程式について、基底状態2つの重ね合わせに近い初期値からの大域挙動を調べた。それらが異符号でかつ十分初期距離が離れている場合に、エネルギー空間での(小さな)開近傍からの挙動を5つに分類した。特に、時間減衰解と爆発解の境界は、漸近1ソリトン解集合の成す余次元1の2つの不変多様体を、漸近2ソリトン解集合の成す余次元2の不変多様体で繋いだもので与えられる。これは、多重ソリトン近傍での初期値に対する大域挙動を分類した初めての結果であり、結果自体は予想通りであるが、ソリトン分解予想に関する重要な進展と考えられる。 水谷は、戍亥氏との共著で、空間3次元から6次元でエネルギー臨界非線形波動方程式にスケール臨界な時間依存摩擦項を加えた場合に、摩擦の係数に依存した時間減衰項をもつある種の修正自由解に小さな解が散乱することを示した。 眞崎は、質量共鳴条件を満たす非線形 Schrodinger 方程式の2本のシステムの臨界現象について、質量劣臨界の場合に考察し、解の大域挙動を分ける threshold に関して、保存則をもとにしない特徴付けを与えた。
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