研究課題/領域番号 |
17H02855
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
田中 和永 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20188288)
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研究分担者 |
小澤 徹 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70204196)
大谷 光春 早稲田大学, 理工学術院, 名誉教授 (30119656)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 変分問題 / 非線形楕円型方程式 / 非局所問題 / 特異摂動問題 |
研究実績の概要 |
非局所問題について S. Cingolani 氏,M. Gallo 氏と共に分数べきラプラシアンと Riesz ポテンシャルとの合成積の 2 つの異なる非局所性を合わせもつ非線形楕円型方程式を扱い,正値球対称解の存在およびその正則性,decay property を示すことに成功した.この際,昨年度までに開発した Palais-Smale-Pohozaev 条件 (PSP 条件)の下での変形理論 (deformation theory) が非常に有効に働いた. 今まで研究してきた 1 つの非局所性をもつ問題に加え, 2つの異なる非局所性を伴う問題も非常に一般的な非線形性を伴う形で研究の対象として加えることができるようになった. また PSP 条件の下での変形理論の理論的な整理を行った.この方法は有効であるが,まだ一般にさほど認知されていない.ここでは典型的な使用例である非線形スカラーフィールド方程式に対する適用法の解説を与え,Struwe,Jeanjean による monotonicity trick と比較すべき方法として変分法を用いる研究者への周知を図った,なおミニマックスレベルにおける PSP 列 (Pohozaev 汎関数に関する情報をもつ Palais-Smale 列) の生成に関する理論も使いやすい形に整理し紹介した.また新たな応用例として strip 領域における非線形楕円型方程式を扱い,無限個の解の存在定理をも示し,群作用があるときに PSP 条件下での変形理論が有効に働くことを示した.ここで扱われた群作用は通常球対称解を求めるときに用いられている対称性とは異なるものである. 劣線形項を伴う非線形楕円型方程式については生駒氏,Z.-Q. Wang 氏,C. Zhang 氏らと研究を行い, 解の台のコンパクト性等の定性的な性質を得ること等にも成功している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2重の非局所性を持つ非線形楕円型方程式に対する正値解の存在定理を得ると共に,PSP 条件の下での変形理論 (Deformation theory)が整理された.目標にしていたL2-制限問題についても翌年度につながる進展があった.
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今後の研究の推進方策 |
非局所性を持つ非線形楕円型方程式に対する特異摂動問題に取り組む.特に非局所問題に関しては解の局在性の扱いが局所的な問題 (非線形シュレディンガー方程式等) とは異なる難しさがあるが,先に開発した tail minimizing 法と PSP タイプの条件下での変形理論を合わせたアプローチを試みる. またいろいろな困難が予想されるが L2 制限化での特異摂動問題にも取り組みたい.
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