研究課題/領域番号 |
17H02865
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
野上 大作 京都大学, 理学研究科, 准教授 (20332728)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 恒星フレア / 装置開発 / 可視光高速分光器 / Kepler宇宙望遠鏡 / データ解析 |
研究実績の概要 |
本年度の計画は大きく分けて2つ、1)京大岡山3.8m望遠鏡に取り付けるための高速分光器を開発すること、2)太陽型星及びM型星のスーパーフレアの特性について調査することであった。1)については、高速分光器の設計がほぼ終了していたところで、3.8m望遠鏡に取り付ける場所である装置ローテータの設計が変更されることとなり、分光器の再設計を行なった。その結果、予定していたCMOSカメラは変更せずに、光学系の変更で対応できることが明らかとなり、CMOSカメラの購入や手元にあった部品等を使った一部の組み立てを行なった。この高速分光器の概要や、3.8m望遠鏡に搭載してどのような研究を行なうかについて、岡山ユーザーズミーティングで発表を行なった。 2)については、Kepler宇宙望遠鏡で得られた太陽型星やそれ以降の晩期型星の光度曲線について、黒点の分布を調べるための二通りの手法の開発について進捗があった。また、同じデータを使ってスーパーフレアの継続時間とエネルギーの大きさの関係を調べたところ、継続時間はエネルギーの0.39乗に比例するという結果になり、太陽の場合とほぼ一致することがわかった。ただし、比例係数については1桁ほど太陽フレアの方が大きかった。この結果については、Namekata et al. (2017, ApJ)として出版された。さらに、Kepler宇宙望遠鏡のデータでスーパーフレアが検出された太陽型星や、TESS宇宙望遠鏡でスーパーフレアが観測されると期待される明るい太陽型星でX線強度が強い天体について可視光高分散分光観測を行ない、水素やカルシウムの輝線成分が強いことが確認された。これらのことは天文学会等で発表された。また、これまでのスーパーフレア星の研究のレビューを、The 4th Asia-Pacific Solar Physics Meetingで招待講演として行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
高速分光器の開発において、3.8m望遠鏡の装置ローテータの設計が変更されうことになり、高速分光器の設計をやり直すことになった。そのため、この開発については計画から5ヶ月の遅れが生じた。しかし、既存データや別の望遠鏡+高分散分光装置を使ったスーパーフレアを起こす天体についての研究は、概ね順調、あるいはやや想定を上回る成果を挙げていると言える。
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今後の研究の推進方策 |
3.8m望遠鏡については、計画より遅れているものの、次年度には完成する見通しである。高速分光器も完成を急ぐ。また、データ解析による研究の成果は早急に論文化を目指す。さらにスーパーフレアに伴う質量放出の様子や、スーパーフレアの系外惑星への影響についての研究について深めていく予定である。
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