研究課題
本年度は大きく分けて三つ、A)高速分光器の開発、B)高速分光器の調整、C)M型星フレアの観測を行なう予定であった。1)は詳細設計を完了し、実際に使用するレンズ群、フィルターや分散素子などの検討を進めた。しかし、今年度の経費の中で全てを製作するのは困難との結論に至り、本年度はカメラレンズ周りとコリメータレンズ周りを揃えた。しかし、高速分光器としては完成しなかったので2)は行なえていない。3)では高速分光器による観測はできなかったが、基礎的研究を進めた。Gaia衛星のデータを用いて、我々がこれまでに発見したスーパーフレア星の性質を再検討した結果は、Notsu et al. (2019, ApJ 876, 58)として出版した。スーパーフレアが放射線等を通して系外惑星に与える影響については、Yamashiki et al. (2019, ApJ 881, 114)として出版した。また、ケプラー宇宙望遠鏡のデータを用いて、恒星の前を惑星がトランジットしているときに黒点を横切ると明るくなる現象から、黒点の位置や大きとその変化を調べる手法を開発した。その成果はNamekata et al. (2020, ApJ 891, 103)として出版した。さらに、せいめい望遠鏡と既存の2次元分光器KOOLS-IFUを用い、他の可視光赤外線とX線による観測で、M型星AD Leoの同時観測を行なった。この結果と、太陽フレアモデルに基づくHα輝線輪郭の数値計算結果を突き合わせ、観測された輝線輪郭と連続光の変化が太陽フレアモデルでおおよそ説明できそうであることを明らかにした。この結果はNamekata et al.として ApJ に投稿した。今後、別の経費を得て高速分光器の残りの部分を作り上げ、装置全体として完成させる。これを用いて当初の目的を達成するための基礎研究は、ほぼ終了できたと考えている。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 5件)
The Astrophysical Journal
巻: 891 ページ: id.103
10.3847/1538-4357/ab7384
巻: 876 ページ: id.58
10.3847/1538-4357/ab14e6
巻: 881 ページ: id.114
10.3847/1538-4357/ab2a71