今後の研究の推進方策 |
本研究の主な観測対象である,高銀緯(すなわち近傍)の星間ガス雲の多波長観測では,カメレオン分子雲領域の解析が論文化の最終段階にあり,これをすみやかに論文化する。加えて強いCO分子輝線の見られない原子雲領域の解析にも取り掛かっており,こちらもH30年度中の論文化を目指す。解析にあたってはより小さい領域に分けた上で,ガンマ線でトレースされる全星間ガスの柱密度とダスト放射の非線形関係(Roy et al. 2013, ApJ 763, 55など)およびダスト温度依存性(Mizuno et al. 2016, ApJ 833, 278など)を詳細に見ており,これらの解析を通じ星間ガス分布の導出と,ダスト放射-ガス柱密度比の較正の方法を確立させていく。合わせて宇宙線強度の議論を行う。 加えて,ガンマ線バーストのX線残光を用いた星間ガスの測定と銀河面上の宇宙線加速源候補天体の解析も進める。前者は先行研究(Willingale et al. 2013, MNRAS 431, 394)に比べイベント数を約2倍(1000程度)と大きく増やし,また星間ガス解析の経験を生かしてPlanck衛星のダスト放射モデルをガスのデータに加えたのが特徴である。高銀緯領域全体を扱うことでガス密度の平均的な性質を調べており,ガンマ線による個々の領域の詳細な解析と相補的になっている。こちらもH30年度中の論文化を目指す。銀河面天体では分子雲と相互作用している超新星残骸候補CTB 37AのGeVガンマ線解析も進め,TeVとスペクトルがスムーズにつながらないこと(すなわち陽子加速の兆候)を見出した。込み入った領域であり系統誤差の評価が簡単ではないが,LATグループメンバの協力を得て論文化の最終段階にあり,すみやかに論文化する。
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